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ざわくん家から駅までの道を歩きながら、今日のざわくんとの会話を頭の中で反芻する。
思い出すだけで笑ってしまいそうな面白いこともあったし、恋愛話で一瞬脈アリかも?なんてドキドキさせられたりもした。
ほんと、今日はいい一日だったなぁ。
ざわくんの誕生日なのに私が幸せにさせられちゃったよ。
すると、ふとスマホが鳴った。
電話?ざわくんからだ。
……あ、プレゼント見たのか。そういうことか。
「もしもし」
「ねぇA今からここ戻ってこれる?てか今どこ?まだ駅まで着いてない?」
「なになにそんな焦んなって。まだ駅まで着いてないよ」
「今すぐそこ行くから近くの目印になるもの教えて」
「目印……あ、セブンあるよ」
「ちょっとそこの中で待ってて」
「分かった、とりあえず落ち着いて来てね?」
「分かってる」
ツーツーツー
向こうから一方的に電話が切られた。
ざわくんは何だかとても切羽詰まったような声色だったから、逆にこっちが冷静になっちゃったじゃん。
え、今の反応どっち?私期待していいの?
数分コンビニの中で待っていると、「駐車場に着いた」との連絡が。
駐車場に出ると、少し遠くに停めてある「643」のナンバーの車が目に止まった。これだな。
窓をコンコン、と叩くとそれが開き、「鍵空いてるから助手席乗りな」と優しい声でざわくんが言う。
言われた通りに助手席の方に回り、今の優しさから数分後私はどうなっているか想像してみるが、マジでどっちか分からねぇ。
色々考えるのはやめて素直に乗り込むことにした。
「どうしたのざわくん」
なんてすっとぼけて聞いてみる。
「えーっと、何から話せばいいかな…まずはA、プレゼントありがとう」
「どういたしまして」
「メッセージカード、読んだんだけどさ」
「うん」
周りは静かで真っ暗。
唯一遠くから差し込むコンビニの明かりだけが私達を照らす光となっていた。
「僕もAに、今まで沢山思うところがあって」
「うん」
「正直、キモいって言われるかと思って黙ってたんだけど」
「うん」
「Aが僕と一緒に居てくれるってだけで僕はすごい幸せだったし、Aと話してるとマジで時間が一瞬で過ぎていくのね」
「私もだよ」
「だからね、僕からも言わせて」
「うん」
ずっとコンビニの光を見ていたざわくんが、こちらに顔を向ける。
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作者名:鹿 | 作者ホームページ:https://twitter.com/puku__64?s=21
作成日時:2021年10月10日 21時