海月と水槽 (ページ4)

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事務所へ行きますよ〜ページ4

今日は東京に出てきてほぼ最初のお出かけ。そう、事務所へご挨拶へ向かう日。あとはちょっと真面目なお話をしに行く。

『シンプル迷子』

地図を見ながら大きな独り言。マネージャーは「道は簡単だよ」って言っていた。
どの辺が簡単なんだよ、教えておくれマネージャー。

「う、うみつき、さん？」
『えっ？はい、海月Aです！えっと…？』
「あっ、えっ、あの、く、葛葉です」
『わあ！葛葉さん！はじめまして〜！海月です！葛葉さんも事務所に用事ですか？』

もしかしてわたしの独り言を聞かれてしまっただろうか？そうだとしたらとてもじゃないが恥ずかしい。

「ちょっと打ち合わせで……その初配信、アーカイブみました」
『ありがとうございます！わたしもいつも配信見てます。うれしいなあ』
「あ、ありがとうございます……よ、良かったら案内しましょうか……？」
『迷っちゃってたから助かります〜！』

配信の饒舌さはない。少し人見知りなのか子犬みたいに隣を歩く彼から愛おしさが込み上げてくる。
葛葉さんの行きたいところとは反対だったらどうしようかと思っていると葛葉さんは同じところに行きたいから大丈夫と言ってくれた。優しい。

「海月さんってエペしますか？」
『エペですか？下手ですけどやりますよ〜！とゆうか敬語やめてくださいよ、わたし後輩！』
「ｳｴｯ……そ、それなら海月さんも敬語外してください。そしたらオレも外す……」
『いいんですか〜？！やった〜！』
「なんかそっちの方がぽい。エペやるなら、いつかコラボしねえ？」
『ホント？わたし下手よ〜？！』
「ガチじゃないし！叶とか誘ってフルパで！！初コラボにどうっ、スカ……」
『うれし〜！叶さんもお話してみたい！初コラボにChroNoiRは贅沢だ〜！ふたりの予定が合えば是非！』
「じゃあオレから叶にディスコ送ってみるわ！あ、あと海月さんのディスコ追加してもいい？」
『もちろん！わたしもディスコ飛ばすね！あ、マネージャーさあん！』
「海月さん！なんで迷うの〜？！」
『住み慣れた人の簡単は信用出来ねえ！！葛葉さんに会って連れてきてもらった！』

マネージャーは葛葉さんにお礼を言っていた。葛葉さんも別にと頭を下げていた。またね、と手を振ると控えめに葛葉さんも手を振ってくれた。

その日の夜、葛葉さんからディスコがきた。昼間とは別人じゃないかと言うくらい饒舌なメッセージ。慣れたら会った時もこのくらいお話してくれるのかなあ、楽しみだなあ。