鴉の学校と廃れた花園2 (ページ9)

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売り言葉に買い言葉で言い合いした手前、うちについても何を話せばいいかわからず勝手に気まずくなる
とりあえずタバコでも吸っとくか

芹「1本くれ」
『…お前もうタバコやめろ』
芹「ケチケチすんじゃねえよ、老けるぞ」
『それが貰うやつの態度か』

偉そうにタバコをせびりながら、あたしの隣に座り直す
無言のまま少しして、耐えかねたのか多摩雄の方が先に口を開いた

芹「さっき言ったことだけどよ」

まずいなこりゃ、珍しくマジの説教だ
顔見りゃわかる

芹「お前、俺が無茶すんなって言ってる意味わかってねえだろ」
『意味？そのまんまだろ、わかってるよ』
芹「わかっちゃいねえから言ってんだ」
『別に何も考えず売られた喧嘩買ってる訳じゃねえ』
芹「わかってんだよ、んなことは」
『じゃあ何がそんなに不満なんだ』
芹「お前が怪我してくんのを俺が喜ぶとでも思ってんのか？毎回毎回、顔合わすたびに傷作りやがって」

血が乾きたての頬を撫でながら言われて、言い返すことができない
そりゃ誰だって自分と親しいやつがボコられていい気はしねえさ
でもそんなこと言ってたら誰も守れねえだろ
あたしは女のテッペンと言われる藤ケ丘の頭なんだ
下の子守るためにも舐められねえようにしないと
自分が体張るのは至極当たり前のことじゃねえか

芹「わかってんだ、お前が強えのも、考えなしのバカじゃねえのも」

お互いの視線が合って吐いた煙が混ざり合う
多摩雄の真意が知りたくて逸らさずにいるけど、何が言いてえのかミリともわからん

芹「今更お前が俺の言うこと素直に聞くとは思ってねえよ」

諦めたように言うあたり、多摩雄はあたしをよく理解してる

芹「だが今回は俺らの問題だ、お前が巻き込まれて無駄に怪我でもしてみろよ」
『もしそうなったとしてもお前の責任じゃねえだろ』
芹「だからわかってねえってんだ」
『何が言いてんだよ』
芹「テメェの女テメェで守りてえと思って何が悪い」

はっきり言葉にされて初めて、自分の身勝手さを痛感した
いちいち誰かに守られるほど弱くねえと自負はしてる
でもそれを過信して、多摩雄の感情まで考えちゃいなかった
あたしがみんなを守りたいと思うように、多摩雄だってそう思うだろ普通に考えりゃ

『…悪かった』
芹「わかりゃいいんだバカ」

さすがに罪悪感湧くな