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「にしても四宮先輩…何で新しい店出す事にしたんすか?しかも日本でなんて。」
四宮に呼ばれ荷運びを手伝いながら、創真は気になっていたことを尋ねた。
「遠スポに書いてありましたけど、三ツ星を目指してる時に出店するのは珍しいんすよね?」
「無駄口叩くな、手を動かせ…」
「フランスで本腰入れなきゃならない時期なのに…何でかなーって。」
四宮が話を中断しようとするも、お構いなしに続ける創真。
そんな彼に、四宮も先程感じた疑問を投げ掛けた。
「……お前こそさっき言ってたのはどういう意味だ?
俺の店で研修できてラッキー…だと?んなもんその辺の零細店に入った方が楽にクリア出来るに決まってんだろ。」
その問いにはAも興味があり、創真が何と答えるのだろうか顔を伺った。
「必殺料理を創る為です。」
『……』
「今までと同じじゃダメなんですよね〜。俺は新しい世界に踏み出して、自分の料理に新しい光をあてたいんすよ!」
そんな創真の言葉に、四宮の口角が微かに上がる。
そして、先程は流した創真の問いに答えた。
「俺が日本で店を出す理由…
今の俺が、上へ行くのに必要な事、だからだ。」
『…?』
「休憩だー!」
Aは、そんな四宮の回答の意味が分からず尋ねようかと思ったが、リュシの声によって中断された。
「お昼どうする?」
「じゃあ俺がまかないを…」
そしてアベルが昼食を作ろうと厨房に向かうと、それを遮るように四宮が立ち上がった。
「俺が作ろう」
「「え!?」」
「料理長が直々に?!」
四宮がまかないを作ることは滅多に無いようで、驚きながらもとても嬉しそうな従業員たち。
そしてすぐに、良い香りと共に料理が運ばれてきた。
「キッシュですか!」
「うまそーっすね!」
「キッシュ…元々はロレーヌ地方の郷土料理で、パリにも浸透しているランチメニューだ。」
そんな自慢げに語るアベルを軽く受け流すと、各々キッシュを口に運んでゆく。
「お、美味し〜!!」
『ゴボウが入ってる!』
フランスでは殆ど使われないゴボウが、シャキシャキと良いアクセントになりチーズのコクと合わさる。
それは皆が戦慄するほど美味しい一皿だったが、四宮は"まだまだだなぁ"と呟いていた。
「おしっ。ワイン開けるぞ!」
そして予算がないと言いつつも、ワインを開けようとする四宮。
それにしても、これだけの料理を作って"足りてない"という四宮には、改めて驚かされたAたちであった。
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篠。(プロフ) - ゆかりさん» タクミくんもカッコいいですよね〜(*´ー`*)後に活躍してもらいますね!!笑 (2019年9月17日 15時) (レス) id: 77342cf851 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - 篠。さん» タクミくんとの絡みもきになるところです! (2019年9月16日 22時) (レス) id: 9654438337 (このIDを非表示/違反報告)
篠。(プロフ) - ゆかりさん» これからオリジナル要素が濃くなるので、原作と流れは同じですが、表現の方法や原作に描かれていない場面の設定などによって、見え方が変わってくると思います!楽しんでいただけると嬉しいです(*´・∀・`*) (2019年9月14日 19時) (レス) id: 77342cf851 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - 原作と少し違うのが良いです! (2019年9月13日 22時) (レス) id: 9654438337 (このIDを非表示/違反報告)
篠。(プロフ) - ゆかりさん» ふふ、気合い入れて頑張りまーす(* ̄ー ̄) (2019年9月8日 22時) (レス) id: 77342cf851 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:篠 | 作成日時:2019年6月15日 23時