ふかさわくん２【紫】

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お祭りの会場に近づけば近づくほど人は多くなって行って少し歩きにくい。

おかげでとなりに並んでいたのに今は深澤くんの少し後ろをついていってる。


はぐれないようにしなきゃ、と気をつけていたら深澤くんが振り返って自分のTシャツの裾をひらひらとさせる。




「はぐれちゃいそうだからつかんどきな」

「ありがと、」




もしはぐれてしまったらシャレにならないから、お言葉に甘えて深澤くんのTシャツを控えめにつかむ。

シワになったり、伸びちゃったりしないようにとゆるくつかんでいたらちょっと歩きにくい。


そんなわたしを見て深澤くんがふふっと笑って「ひょこひょこなってんね」と左手を出した。




「手、つなご」




差し出されたそれに戸惑いながら右手を乗せると、きゅっと力を込められる。

それと同時に大きく音を立てる胸。

ぐんっと温度が一気に上がった気がした。




ぷらん、と宙に揺れる手が視界に入るたびにくすぐったい感覚。



手汗やばいって思われてないかな、とかわたしだけがこんなにドキドキしてるのかな、とか。



頭の中はそんなことでいっぱいで、まともに深澤くんを見れない。





「……あ、出店見えてきた」




喧騒の中でもはっきり聞こえた深澤くんの声に意識を向けると、賑やかな音楽と楽しそうな外装の出店が立ち並んでいた。




「花火まで時間あるしいろいろ見て回ろっか」

「そうだね、」

「気になんのあったら遠慮なく言ってね？」





そのままの距離じゃ聞こえにくく、少し顔を近づけてそう言った深澤くん。



ああ、もう。心臓がずっとうるさくて、もたないや。

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