ふかさわくん２【紫】

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陽も落ちてきたころにやっすーと樹くんが大量の花火セットを嬉しそうに持ってきて、手持ち花火大会が開催される。


エモいエモいって写真を撮ったり、二刀流ってふざけたり。


笑い疲れちゃって、浜辺から少し離れた石段のところで休憩してたら夕陽とみんなのシルエットがなかなかいい感じでスマホを構える。


何枚かパシャパシャと写真を撮っていたら、いきなり画面いっぱいに広がった影にわっとスマホを遠ざけた。



んはははって笑い声が聞こえてきて、振り返ったらにっといたずらっ子のような表情で笑う深澤くんだった。




「…っ、ビックリしたぁ、」

「いい写真撮れた？」




そう言ってわたしのスマホの画面を覗き込んできたから、さっきまで撮っていた写真を見せる。

最後の一枚はビックリしたせいで見事にブレブレでドアップの深澤くんの顔。


思わずそれを見て笑っちゃうとなに笑ってんだよって深澤くんがわたしのとなりに少し隙間をあけて腰を下ろした。





「どうしたの？」

「ん？そろそろ花火なくなるからAちゃんとしようと思って」





そう言った深澤くんの手には花火と小さなバケツ。


わざわざ持ってきてくれたのかな、と思うと胸が分かりやすく音を立てる。





「はい、これAちゃんのね」





花火を渡され、深澤くんがポケットから出したライターでろうそくに火をつけてくれる。


バチバチっと音を立てて火花を散らす花火に頬が緩むと、深澤くんもふわりと笑って二人だけのプチ花火大会が始まった。

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