ふかさわくん２【紫】

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一ヶ月に一度回ってくる図書委員の仕事をするために放課後、図書室に向かう。

建て付けの悪い図書室のドアを開けると、相変わらず予定時間より前に来ている北斗くんの姿。




「あ、A」

「今日も早いね。北斗くん」

「読みたい本があったからね。そんな人を暇人扱いしないでくれる？」

「ふふ、ごめんなさーい」




北斗くんが座っている一席となりに座り、今日も利用者のいない図書室で下校時刻までのんびり過ごす。

本を読んでいた北斗くんは、しおりを挟んでぱたんと閉じる。




「読まないの？」

「Aが来たからね。おしゃべりする方が楽しいじゃん」

「そう？」

「うん。俺はAと話してる時間好きだよ」





普通の人が言いそうにないことをさらりと言ってのける北斗くん。

少し恥ずかしいけど、そう言ってもらえるのは純粋に嬉しい。


わたしたち以外誰もいないけど、一応図書室だからって少しだけ声を潜めながら話し始めた。




「そう言えばもうすぐ期末だけど準備してる？」

「…テストあること今思い出した」




テストまでもう二週間ないことを思い出して頭を抱える。

体育祭とか深澤くんのこととかですっかり忘れてた。




「もしよかったらなんだけど久々に一緒に勉強しない？」




北斗くんにそう言われて、なんの迷いもなくいいねってうなずく。


去年、恒例化していた勉強会で北斗くんに丁寧に教えてもらったから点数高かったんだよなぁ。




「今回もお世話になります北斗くん」

「お世話させていただきます」




ふわりとクールな印象とは違い、可愛い顔で笑う北斗くん。

ちょっとレアな北斗くんを見た気がした。

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