ふかさわくん【紫】

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ヤバい、寝坊だ。


いつもは必ずセットしてるはずのアラームのセットをし忘れていたみたいで、大慌てで飛び起きる。


こういう日に限って、なぜか寝癖はなおらないし、靴下が見つからないからいやになる。

結局寝癖は途中で諦めて、慌ただしく家を出た。



いつも乗るのより数本遅い電車に乗ると、思った以上に人が多くて立ってるだけでも疲れる。

それに、普段はゆっくり歩く駅から学校までの道のりも急がなければならなくて、気温が上がってきた今の季節は最悪だ。


下駄箱につくと、急いだ甲斐あってか少し余裕が持てる時間。




「あれ、Aちゃん」




寝坊？と嬉しそうに聞いてくる深澤くんにそうですけどって少し不機嫌に返せば珍しいじゃんって笑われる。




「ここ寝癖ついてんもんね」

「なおらなかったの！」




深澤くんが指をさしたところをとっさに手で押さえると楽しそうに笑う。

二人で余計なことを話していたせいで、まだ階段の途中なのにチャイムの音が聞こえて「ヤバイ！」と同時に走り出す。




「Aちゃんダッシュ！」

「待って待って！」

「さなぴーに怒られんのだけは勘弁！」




猛ダッシュで階段をかけのぼり、チャイムが鳴り終わるギリギリで教室に滑り込む。

教卓の前には目を細めたさなぴーがいて、冷ややかな視線を送られる。




「今日はギリギリセーフで許してやるけど、走らなくていいように余裕を持って来なさい」




注意はされたけど、さなぴーからのお説教を免れてほっとする。

自分の席に向かうと、しょっぴーが「ふっかと仲良く遅刻？」ってからかうように聞いてくる。




「たまたま下で会っただけ。それに遅刻じゃないし」

「ふーん？」




何を勘違いしてるのかニヤニヤしているしょっぴー。

なんか、うざ。

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