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向「なかった、な…」
『なんでだろう、すごい悔しい』
向「やっぱもっとアングルとか撮影の技法とか勉強せなあかんかったかぁ…」
Aちゃんは『もう1回見る』なんて言って俺からパソコンを受け取って、かじりつくように画面を覗き込んでいる。
向「俺な、このコンテストで何かしらの賞が獲れたらAちゃんと、真正面からちゃんと話しようと思っててん」
『……どういうこと?』
向「また何かキッカケがあれば、そんときに」
『気になるよ』
向「さすがに今はちょっと情けなくて…」
日々勉強している人達と同じ土俵に立つのは難しいわけで、なんとなく予想していた結果ではあったけど、やっぱりそれなりに落ち込んで。
青々しい空を見上げながら、大きく花を開いて持て余している自分の気持ちを見つめ直す。
『向き合ってくれるなら、やっぱり今がいいな』
向「えっ?」
パソコンの画面から目を離さずにそう言ったAちゃんは、何故か少しだけ笑っている。
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作者名:夕凪 | 作成日時:2020年5月21日 7時