キミとオレンジの世界【橙】 (ページ31)

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向「さて、パソコンが立ち上がりました」

『よし、じゃぁ先に私のから見よう』

向「え、一緒やないん？」

『あれ、言ってなかったっけ？違うテーマのやつにしたの』

Aちゃんが提出した写真のテーマは「宝物」だそうで。全国の高校生を対象としたコンテストらしいテーマやな、となんだかくすぐったい気持ちになった。

言われるがままに検索をかけ、指定のHPを開いて「結果発表」とかかれたバナーをクリックする。

向「あ、あった…」

写真のそばにある "A A" の近くに書かれているのは "佳作" の文字で。最優秀賞や優秀賞ではないものの、すごいことに間違いはない。

『うれしいな。ちょっとだけ自信あったの』

向「でも、これ「宝物」って…」

『そう。私の宝物はこれ』

名前と一緒に掲載されている写真には、キラキラの衣装を着てバチバチにキメて踊る俺ら9人の姿が眩しいほど美しく輝いている。

そして、何度瞬きをしても何度目を擦っても、真ん中に立つのは自分でも驚くほどいい顔をしている自分の姿やった。

『もともとみんなのことは応援してて写真もよく撮ってたけど、康二くんが入ってすごくしっくりきたの。

あんに心から『撮りたい』思って、無意識にカメラを構えたのは初めてだった』

キラキラした顔で話すAちゃんは、完全に自分の世界に入ってるけど。

たとえ9人まとめてでも、あの空間のことだったとしても、「宝物」の一部になれていることがこんなにも嬉しくて穴が開くほど写真を見つめた。

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