キミとオレンジの世界【橙】 (ページ26)

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しきりに阿部ちゃんは俺の背中を押してくれてるけど、自分的にはコンテストで賞を取ったらって決めている。

阿「Aも康二のこと気になってるんじゃないかと思うんだよね」

向「そうなん！？」

阿「だって、わざわざ『転校生がダンス経験者なんだけど、ダンス部に入りたいって言いに行く勇気がないみたいだから声掛けに来て』って言いにきたんだよ？

どうでもいい奴のためにそんなことしなくない？」

向「Aちゃん、優しいから…」

阿「万人に優しいわけじゃないでしょ。自信持ちなよ！」

向「ありがとう」

突然教室に佐久間くんが飛び込んできたあの日のことを思い出して、あれはそういうことやったんかと裏側を知ってしまったら、Aちゃんへの気持ちがどんどんと大きくなってくる。

「楽しくなりそうだ」なんて言いながら伸びをする阿部ちゃんも、そんな彼を照らす夕陽も、いまの俺にはいつもより数倍輝いて見えている。

阿「そろそろ帰りますか？

そういえば、いま俺の家で彼女がコレ待ってるんだよね」

そう言っていたずらっぽく顔の横に掲げたコンビニの袋の中には、いかにも女の子が好きそうな飲み物とチョコレートが入っていた。

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