キミとオレンジの世界【橙】 (ページ16)

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阿「あ、康二！やっと見つけた！！」

向「あれ、阿部ちゃん…？え、俺遅刻した！？」

阿「ううん、まだ大丈夫だよ。

康二のクラスの近くにいたから一緒に行こうと思ったらいなくて。クラスの子に聞いたら誰も連絡取れないっていうから慌てて探しちゃっただけ」

向「うわー、申し訳ない。寝とったみたいで…」

阿部ちゃんは笑って「大丈夫」ともう一回言ってくれて、ちょっとごめんねと携帯を取り出して誰かに電話をかけ始めた。

阿「もしもしA？ごめんね、康二見つかった。

ん？あぁ、わかった。今度、家まで届けに行くよ。

はい、了解。じゃぁね～」

向「電話？」

阿「あー、うん。よし、そろそろ行こうか？」

向「そやね。これで遅刻したら、阿部ちゃんまで怒られてまうもんな」

相手の声は聞こえへんかったし、違う人かもわからんけど、俺が見つかったことを報告していたことを考えると聞こえたAちゃんの名前はおそらく本人で間違いない。

別に阿部ちゃんと知り合いでも問題ないし、それがなにってわけでもないのに、なんとなく自分の中でモヤモヤしてしまって、まっすく阿部ちゃんの顔が見れなかった。

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