ひとつのうた (ページ17)

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Story17 ページ17

松倉side

いつも彼女のいるところへ行く時はバスだった。

なんとも言えない幸せを噛みしめながら、

バスで揺られる時間が好きだったから。

でも、帰りは長く一緒にいることができる電車で帰っていた。

バスが終わったこの時間。

終電は、2駅も手前の駅で俺を降ろした。

走った。

彼女がいる確証もないのに。

でもそこに

彼女がいた。

松「Aちゃん！」

そこには涙を流すAちゃんがいた。

『…海斗…。』

松「…ずっと来れなくてごめん。

…急に来なくなってごめん。

ずっと…

会いたかった。」

『…私も会いたかった

…ずっと待ってた。』

俺は冷え切った彼女を抱きしめた。

松「また会えてよかった…

輝いてたよ、今日。」

『…やっぱり海斗だったんだ』

松「うん。楽屋に来たときに気づいた。」

『ごめん、あのとき余裕なくて…

ってか海斗、ジャニーズだったんだね…

え、この状況ダメじゃん！』

松「まぁ…ちょっとだけね笑」

俺にとってあの景色も大切だけど、

あの景色を見れるのは、

ここから見えるもの

この景色があるから。

松「この景色がね、宝物なの。

この駅と、ギターと、

Aちゃんがいるこの景色が。」