煙に巻かれて【短編集】 (ページ25)

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( side A

はふーはふー

なんだかデジャブだ、
でも画面越しじゃない初めての体験

「普段人見知りせぇへんのになぁ…」

一向に私の近くに来ない、いやむしろ警戒しているはふちゃんを、眉を下げて残念そうに見つめる堂前さんがかわいい

もしかしたら、堂前さん目当てできてたことが、はふちゃんに、

『ばれてるんかなぁ、』

「ん？なにがばれてんの？」

『へ、あ、いつもにまにましながら動画見ちゃってることを、です』

「それじゃ警戒せぇへんやろ笑」

『キモイやつやって思われてるかも』

「そんなことないやんなぁ、はふー？」

堂前さんの優しい呼び掛けも虚しく、はふちゃんはソファーでまるまってしまった

「ごめん、なんかあかんみたい」

『いえいえ、ここから眺めてるだけでも本当に可愛いです！生のはふちゃん』

「まぁでもそのうち懐くと思うで」

『へ？』

「また遊びに来るやろ？」

はい、と答えた声は震えてなかっただろうか
というか顔が赤くなってないかも心配だ
無意識ってこわい
当の本人は優しくふにゃふにゃ微笑んでいる
本当に、ずるいひとだ

「ほんなら、なんかゲームしよ」

『あ、私かわいいにわとりみたいなやつがいっぱい出てくるのしたいです！』

「あー…フォールガイズな、ええやん」

準備してくれている堂前さんにバレないように、はふちゃんの方へそっと手を合わせる

ありがとうございます、はふー様様です
だけどあともう少し、
もう少しだけ、夢をみていたいです

…