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( side A
「ごめん、急に変なこと聞いたわ」
『ううん、聞こえちゃったから言うけど、私好きな人いるよ』
「いるんや……どんな人なん？」
『こんな私に、すごい優しい人、』
「あのさ、俺も、俺もおんねん好きな人」
『………どんな人？』
「なんかうまく言えへんねんけど、その人のことばっかり気になって。でも好きになっていいかすらわからへんような人」
『そう、なんや』
平然を装うはずの声は震えて、テーブルに雫が何滴も落ちる
あぁ、ここで終わったのか、としみじみ感じてしまう
こんなことならやっぱり、すぐに好きって言っておくんやったなぁ
「Aは誰を思い浮かべて泣いてるん？」
『……っ私の好きな人さ、好きな人がいたんだよね』
「忘れよ、なんも見んといて。Aを哀しませるもの、全て」
ふわっと温かく賢ちゃんに包み込まれる
安心する、いい匂い、
「ごめん、俺Aのことが好きやねん」
『え、今賢ちゃんなんて……』
「ずっと、好きやった」
『………私の好きな人はね、毎回出番が被ると飲みに誘ってくれる人なの、今、目の前の』
「え、ほんまに言うてるの…？」
『ずっと私も言えなかった、賢ちゃんが好き』
「…好きでいてもええ？」
『むしろずっと、そのままでいてほしい』
ふにゃっと笑った賢ちゃんの顔を見て、もう一度この状況が現実であると実感する
飛んだ夢物語の結末ががハッピーエンディングになるなんて
賢ちゃん、あなたを好きで、本当に良かった
ずっと、好きなままでいさせてね
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作者名：そら | 作成日時：2021年4月28日 21時
