油断と誤算、その４ ページ21
ラウ:side
…おかしい。
明らかにおかしい。
薄暗い廊下を警戒しながら少しずつ
進むけど、１匹もゾンビを見掛けない。
１階ですら、３〜４匹は居たのに。
向「…なぁ……」
先頭を歩いてた康二君が 何か言おうと
振り返った瞬間、ベチャッ！と
何かに足を滑らせ 派手に転んだ。
ラウ「ちょ！？康二君、大丈夫？」
目「…たく、何やってんだよ」
向「…痛てて…って…うわぁ…ズボンが
ぐっしょぐしょ やぁ〜(泣)」
濡れただろうズボンを拭って確認していた
康二君が、小さく息を飲む。
目「康二？…どうし…」
ラウ「………？」
康二君の異変に気付いた俺と めめ は
康二君が凝視している手を覗き込み
目を見張る。
向「…な…何やねん…これ…」
康二君の掌には、薄暗い闇には
似つかわしくない程の鮮明な赤い
血らしき液体。
良く見たら辺り1面が血だまりと化していた。
《………ｸﾞﾁｬｯ…ｸﾞﾁｯ…》
廊下の奥から何か聞こえる。
目を凝らして見るけど、良く見えない。
目「…っ！！…康二、ラウ…ゆっくり
後ろに下がれ…」
廊下の奥にいる何かに逸早く気付いた
めめが、前を見据えながら呟いた。
《…ﾌﾞﾁﾌﾞﾁｯ…ｸﾞﾁｬ………！……。》
まるで、何かを咀嚼してる様な音が
ピタリと止まった。
カツン…カツン…カツン…。
床を弾くような軽快な音が
１つ、また１つとこちらへと近付く。
《……ｸﾞﾙﾙﾙﾙｩ…ｳﾞｩｩｩ…。》
向「あれって…まさか…。」
目「……ケルベロス…。」
暗闇の中から光る６つの目。
見上げる程の大きな身体から3つに
別れる太い首。
犬とは形容しがたい顎まで裂けた口からは
赤い舌と咀嚼した何かの血で染まっている。
ボトリ。
ケルベロスの口元から何かが落ちる。
人間の…腕…？
いや、あれは…ゾンビの腕？
ラウ「…ま、さか…ゾンビが居なかったのって」
目「…あぁ…多分、こいつが食ったんじゃん？」
向「…っ…共食いとか…ヤバすぎやろっ！」
顔を青くし音を立てない様に後退り
する俺達を余所に、確実に距離を詰める
ケルベロス。
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twinkle*star(プロフ) - ゆきんこさん» ご感想有り難うございます！大先輩のゆきんこさんにコメント頂けてめっちゃ、テンション上がりました(笑)これからも精進致しますのでお時間が有る際は是非読んでやって下さい！ (2021年8月23日 14時) (
レス) id: a6a3301127 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - はじめまして。作品を先程見つけて一気に読ませてもらいました！とっても面白いです！こういうスリルありホラー要素ありの作品好きなんですが、なかなかないので見つける事ができて嬉しいです！これからも更新追わせて頂きますので無理せず執筆頑張ってください。 (2021年8月22日 21時) (レス) id: bf817d2202 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：twinkle | 作成日時：2021年8月11日 13時
