127話 ページ28
聖side
壁や柱などを使い、監視カメラの視界から逃れながら玩具屋へと向かう。
「なぁ、聖。何かおかしいと思わねぇか？」
監視カメラが別の方向を見たのを確認したと同時に壁から身を乗り出し、玩具屋に向かって走っていると、背後から岳斗君が話しかけきた。
「おかしいって、何が？」
「見回りが一人もいねぇだろ。足音も聞こえてこねぇし、人の気配もまるで無い。さっきからチラチラと周り見渡してるけど、リクトルの一つも見えねぇんだよ」
僕も辺りを見回してみるが、確かに人の姿も無いし、足音も僕達の走る音しか聞こえない。僕達以外の全てが、消え去ってしまったみたいだ。
「岳斗君の言う通り、これは妙かもしれないね……」
後ろポケットに入れた携帯を出し画面を起動する。
「15時39分、トイレから出てもう3分は経ってる。そろそろ見回りが来てもおかしく無いはずだけど……」
けど、やっぱり見回りが来る気配がない。まだ僕達が残ってるのがバレてないのか？ それとも、僕達を泳がせておいても大丈夫と思っているのか？ もしくは、何か別の目的があるのか？
「！おい聖、あれ……何だ？」
携帯の画面を見ていると、突如岳斗君は足を止め、その先にある何かを指差す。
「あれ？」
何なのかと思い、指を刺された方を見ると、目の前にある曲がり角の床に、異様な雰囲気を放った謎の箱が置いてあるのに気づく。
「あれって、元々あそこに置いてあったものじゃねぇよな」
「前にここを通った時はあんなの無かったよ。誰かの落とし物かな？」
異様な雰囲気を放つ箱に駆け寄り、僕達はその箱を開けずにジッと見つめる。
箱の開け口には目の模様が描かれており、その周りには赤と茶色のアジアンな柄が描かれていた。
「落とし物にしては、随分と奇抜なデザインだよな」
「どうする？ 開けてみる？ もしかすると、爆弾の可能性もあるよ」
「開けたらドカーンってか？ つっても、持った感じ爆弾って重さでもねぇぞ」
岳斗君はヒョイっとその箱を持つと、耳元でその箱を上下に揺らす。
「が、岳斗君！？ 何で持ってるの！？ もし中身が爆弾だと爆発するかもだよ！？」
「音からしてなんかちっさいのが入ってるな……まっ、これなら開けても問題ねぇだろ」
「ちょっと、待っ───」
僕の話に聞く耳を持たず、岳斗君はその箱を躊躇なく開ける。
そして、その箱に入っていたものは───
続く
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