124話 ページ25
聖side
「貴史！？ どうしたんだよ！！ おい！！ くそっ……通話が切れた……」
「貴史君……」
今の物音からして、通話してたのに気づかれてテロリストに襲われたに違いない。
なんて厄日なんだ。ただ僕達はショッピングモールに遊びに来ただけだと言うのに、何故こんな事に巻き込まれなくちゃならないんだ。
やっぱり来ない方がマシだったじゃないか、と心底後悔するが、今更そんな事をしてももう遅く、悔やんだところでこの現状が変わるわけでもなかった。
「こんなとこで喧嘩してる場合じゃなくなったな。やっぱこういうのって、身代金要求すんのが目的だったりすんのか？ だとすると良い迷惑だぜ」
「けど、爆発が起こったんだとしたら、もう警察に連絡が届いてる筈だよ。暫くしたら警察が到着する筈だし、それまでテロリストにバレないように何処かに身を隠した方がいいと思う」
「そうだな。でもまぁ、見つかったとしてもなんとかなるだろ。ブレイダーになった時に護身術を俺達は学んでるし、いざって時はボコボコにすればいいだけの話だろ」
「簡単に言うけど、相手は武器を持ってるんだよ？ 幾らブレイダーとは言えど、僕達だって人間だ。急所に当たったりしたら死ぬのは当然だし、そもそもレイヴンを人間相手に使うのだって禁じられてる。そうトントン拍子で行く話でも無いんだよ」
「んー……言われりゃそうだなぁ……つっても、ここで大人しくしてる訳にもいかねぇだろ。外がどんな状況になってるかを知る為にも、ここで行動を起こすしかねぇ」
岳斗君の言う事は最もだ。ここであいつらに見つかるのも時間の問題だ。外の状況を知る為にも、警察が来るまで身を隠す為にも、このトイレから出る他無い。
「そしたら、まず僕が外がどうなってるか見て来るよ。それでテロリストが居なかったり、来る気配が無かったら外に出よう。それで良い？」
「うーん……」と唸りながら暫く思考し、考えが纏まると岳斗君はコクリと縦に頷いた。
「それしかねぇな、他の手も思いつかねぇし。なんかあったら直ぐ言えよ」
「わかった、岳斗君も出来るだけ物音は立てないようにね」
慎重に行こうと互いに気を引き締め合うと、足音を立てないように忍び足で入り口に近づく。
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