110話 月見side ページ11
月見side
街の大通りの中、次々と襲いかかってくる魔隆達をクライスサイズで切り裂いていく。
「はぁっ……!」
最後の魔隆を切ると、魔隆は黒い粒子となって消えていき、『シミュレーション終了です』というアナウンスと共に街並みは無機質な白い空間へと姿を変えた。
「ふぅ……」と一息つき、今着ている白いTシャツで汗を拭うと、自分の通信バングルに届いた今回のスコアを目の前に表示する。
「評定ランクS、討伐タイム12分39秒……」
1回目よりも明らかに1分半も遅くなっている。いや、もっと言うと2ヶ月前よりも遅くなってる。
前なら10分は確実に切れたはずなのに、最近は魔隆に少し手こずる事が多いせいでタイムが縮まらなくなってしまっているからだ。
毎日特訓してても、精神が揺らいでしまっては腕も鈍ってしまう。それじゃあ意味が無い、私はまだ強くならなきゃ行けないんだ。
私にはまだ、為すべきことが……
「こんな夜更けにトレーニングか、精が出るな」
声がした方を向くと、入り口の前にアルティネイター最強の男、
「
「最下級ブレイダーチームに入ったんだとな。周りから言われてるぞ、BREAK DRIVEはただの落ちこぼれの塊だと」
「貴方には関係の無い事です。ほっといてください」
私はいつも通りに冷たく切り離す様に返答する。
「ふん……A級ブレイダーの中でも上位の実力を誇るお前が落ちぶれたものだな。今ならまだ遅くは無い。さっさとそこから抜けて
「貴方に言われる筋合いはありません。私は私の意思であそこにいるんです」
「他に用がないなら出て行ってください」と言い、背中を向けながらトレーニングを再開しようとする。
「園崎 岳斗、だったな?」
通信バングルのボタンを押そうとしたとこで手をピタッと止め、背中を向けながらそっと両手を降ろした。
「……自分よりも格下の相手は覚えないんじゃ無かったんですか?」
「よく会議でそいつの話が持ち出されることが多いせいで、嫌でも覚えさせられてしまった」
やっぱり、この人は嫌いだ。『あの事』を知ってるせいで、たまにこうやって突っかかってくる。
決してこの人に焦りを察せられる訳にはいかない、普段通りに接しないと……
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