118話 ページ19
？？？side
「っ……お前らの目的はなんだ、何が目的でこんなテロを起こすんだ！！」
警備員の立場をわきまえない反抗的な態度に少し苛つきを感じ、足元にあった他の警備員の切り落とされた頭をそいつの元に向かって蹴る。
それを見た警備員達は「ひっ！！」と情けない怯えた声を出し、顔が一層青ざめる。
「犬ってさぁ、よく愛玩動物として飼われてる事多いだろ？ 人懐っこい性格だから危険性が無い。だからペットショップでも商品として売られる事が多い。でも、俺は思うわけよ。
犬なんて、人間にとってはただのオモチャなんじゃないかって」
警備員達は恐怖を露わにしながらもその話にはぁ？とハテナを浮かべるが、気にせず俺は話を続けた。
「だってそうだろ？ 裏を返せば犬は元々狼の種類なんだ。野生的で対抗的な生物、それが本当の姿なのに、人間は自分達の道具にするためにその本能を抑えつける。そして、従順な道具に成り下がると、今度は使えないと判断した犬を当たり前のように捨てる。
酷い話だよなぁ、信用していた奴に裏切られて飽きたら即捨てられるんだから。
でも、そういう悲惨な運命を辿ってしまうのは、結局は自分のせいなんだ。人間達の教育によって腑抜けてしまった自分のせい。
だったらどうすれば良いのか……簡単だ。
本来の姿の狼になって、そんな人間達を喰い殺せば良いんだ。
戦う術を忘れるな、己の牙を尖らせろ、人間に頼るな、狼の誇りを持て。そうする事で、犬は初めて人間に反抗する事が出来る。
まぁ、つまりはな____」
少し歪なグローブをはめている右手をギュッと握りしめていくと、警備員達を縛る鎖も段々強く縛っていき、鎖と互いの体が寄せ付けられる圧迫感に苦しみを感じ、呻き声をあげる。
「ラヴァルダート教団は……いや、俺達リミテッドクラインは、国に従うブレイダーとかいう犬畜生どもとは違って、覚悟や誇りを持った狼なんだよ」
骨のバキボキと折れる音が響き渡り、苦痛で命乞いをしようとするのをゆっくりと眺める。
右手をギュッと握りしめると、鎖は一気に体に食い込み、限界まで締め付けられた警備員達は、絶命したかのように頭をガクンと下げた。
そして椅子を回転させパネルの方に体を向けると、中央館の2階にあるゲームセンターの防犯カメラ映像に7人の男女の団体がワイワイとクレーンゲームで遊んでるのを見つける。
「腑抜けた犬どもに見せてやるか、本来の狩りの仕方って奴を」
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