58話 ページ9
岳斗side
炎を消そうと必死になってる隙に、ゴミ袋から起き上がり、魔隆の懐へと入り、炎を纏ったフレアスブレイドを構える。
「じゃあな……燃え尽きろ」
魔隆の上半身をフレアスブレイドで斬ると、フレアスブレイドの炎が魔隆を包み込んで行った。
「グギャァァァァァァアアア!! グギャァァァァァァァァァァ!!!! 」
炎に体を焼かれながら、魔隆は苦しそうに叫んでいた。
炎が消えると、魔隆は黒焦げになり、地面に倒れこんで、黒い粒子となって消えていき、そこに残ったのは、炎で焦げた焼き跡だけだった。
「討伐完了っと……ん? 」
焼き焦げた場所に赤い何かが光っている事に気付き、その光っているものに手を伸ばして拾う。
「なんだこれ、小さな真珠……? 」
「園崎」
ジーっと小さな赤い真珠を見ていると、路地の入り口ら辺のとこから疾風の声が聞こえ、そちらの方向へと顔を向ける。
「おっ、疾風。あの女の子はどうなった? 」
「……直ぐにアルティネイターの医療班が来て、無事保護された」
疾風は表情を見せないように少し顔を伏せながらもそう話す。
「そっか、保護されたんなら良かったぜ」
「……園崎、なんで応援を待たなかった」
声を低くさせ、顔を伏せたまま俺の方へとゆっくりと歩いてくる。
「言ったはずだろ? あのまま待ってても、あの子は助かんねぇって」
「……死ぬかもしれなかったんだぞ」
「そんなの入った時から百も承知だっつーの。実際俺って魔隆に殺されかけた事あるし」
「……民間人にも迷惑をかけたよな」
「あー……あれは緊急事態だったからな……後であの人には謝りに行くつもりだ」
「……本来ならC級ブレイダーが討伐するはずの魔隆だったんだぞ」
「そんなの知ったこっちゃねぇ。ルール守って目の前で喰い殺されるくらいなら、ルール破って目の前の奴を助ける。それが俺の信念で、俺のやりたい事だ」
「……そうか。よくわかった、お前がどういう奴なのかが」
「おっ、ほんとか! わかってくれて良かったぜ。それじゃこれからもよろしく____」
疾風に握手を求めようと左手を出した瞬間、蒼迅丸で俺の首に斬りかかり、首に当たる寸前で刃を止める。
「……は? 」
何故刃を向けられたのかがわからず、そのまま動きが硬直してしまう。
理解が追いついてない俺の方を、疾風は顔を上げて怒りの表情で俺を睨みつけた。
「お前はやはりブレイダーに値しない。園崎岳斗、俺は決して……
お前をブレイダーとは認めない」
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