95話 ？？？side ページ46
？？？side
使われなくなった廃工場に白金学園の制服を着た数人の不良達がたむろしており、その中の不良のリーダー格と思われる男が近くのガラクタを蹴飛ばす。
「クソッ！！ なんでだ！！なんで俺らが脱落になってあの転校生が合格になんだよ！！ あの受付の女が下手なこと言わなけりゃ……今頃、逆の立場になってたってのに……！！」
「おい山本、物に当たっても意味ねぇだろ……俺らが落ちたのに変わりはねぇんだから」
「うるせぇっ！！ あいつのせいで俺の人生滅茶苦茶だ！！ 」
山本というリーダーの男は額に血管を浮かばせてながら近くにあったバールを手に取る。
「こうなったら……何が何でもあいつをぶち殺してやる……！！ あいつがいなけりゃ、俺は……！！」
「無理だって、試験の時のあいつの実力見たじゃねぇか。囲んでた魔隆を全部倒しちまう程の力だぜ？ 」
「あんなのただの偶然に決まってんだろ！！ シミュレーションだったから倒せただけだ！！ あいつだってただの人間だ、全員で襲いかかってリンチにすりゃあ……！ 」
そんな山本の様子を見ていた不良の1人が「チッ」と舌打ちをした。
「俺らまで巻き込んでんじゃねぇよ……脳筋野郎が」
小声でそう言ったのが山本にも聞こえ、気に障ったのかその男の胸倉を掴んで無理矢理立ち上がらせた。
「今何つった。おい、もういっぺん言ってみろよゴラァ！！ 」
「きたねぇ手で俺に触んじゃねぇよ。雑菌が移るだろ」
リーダー格の男を突き離すと、周りに座ってた不良達も立ち上がった。
「正直もうお前とは付き合い切れねぇんだよ。身勝手で、少し煽ててやっただけで自分が特別だと勘違いして……」
「はぁ……？ な、何言ってんだお前ら……」
「まだ気づかねぇのか？ お前の親父が有名な国会議員だから仕方なく絡んでやってただけ。あの女どももそうだぜ？ 下手なことしたら何されるかわかんねぇからてめぇの取り巻きで居てやったんだよ。だが、お前はその親父からも見限られた。お前なんてもう怖かねぇんだよ」
呆然となっている山本に蹴りを入れ、地面に倒れさせる。
「でもよ、お前にはまだ金ヅルとしての利用価値がある。政治家の息子なんだからたんまりと金もってんだろ？ 速飛の奴がサイフじゃなくなった以上、これからはお前が俺らのサイフになってもらうぜ」
しゃがみ込んだ山本の肩に手を置き、耳元で「これからよろしくな。金本君」と囁くと、その場に1人残して、不良達は高笑いしながら去っていった。
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