90話 岳斗side ページ41
岳斗side
白い白衣を着た藍色長髪の女性に上半身裸の状態で背中を向けると、背中の傷は暖かい光に包まれ、みるみるうちに治って行く。
「はい、これで大丈夫よ。傷は全部治ったわ」
「すっげー……全然痛みもねぇし傷もねぇ」
「そりゃあそうに決まってんだろ、麻友先生はアルティネイターの専属医師で医療班をまとめあげてる責任者だぞ。医務室に麻友先生がいる事なんて滅多にねぇんだから感謝しとけ」
「あらあら、そんなに褒められると照れてしまうわ」
と言っても、昔に父さんが自分の知り合いだと自慢話をよくしていたから覚えているだけであって、本当なのかはよくわかっていない。
「にしても……レイヴン無しで怪我を治しちまうなんて……まるで魔法みたいだ」
「ふふっ、慣れてくるとレイヴン無しでもギアが使えるようになってくるものよ。とは言っても、レイヴン無しじゃ力が半減してしまうし、ギアだけを使うのも中々高難度なものよ」
「まぁ、麻友先生もベテランだからなぁ。確か今年で35____」
と、言いかけるたとこでメスのようなものが木下のおっさんの真横を通り過ぎ、後ろの壁に突き刺され、おっさんの顔は青ざめ頬から血が流れ出す。
「木下さん……健康診断でも貴方の体は不健康状態で命に関わると言われているの。このままじゃ大変な事になってしまうわ。どうする？ 今すぐ手術をしてあげたても良いわよ？ でも、今日の私少し不調気味だから、間違って麻酔無しで手術しちゃうかもしれないわね〜……」
ニコニコと笑う麻友先生の顔には影がかかっており、背中が凍るような恐怖を感じる。
俺はすぐさま服を着て、「失礼しましたぁ！ 」と2人で声を合わせながら逃げるように医務室から出て行った。
「うふふっ、お大事に〜」
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