88話 ページ39
岳斗side
月見は俺の胸に顔を埋めながら泣いていると、一瞬、あの夢を思い出し、頭に電撃の様なものが走り、顔を歪めながら頭を咄嗟に抑える。
まただ、またあの頭痛だ。
あいつらのリクトルを見た時もそうだった。
あの夢を思い出すと必ず頭痛が来る。月見と会った時もだ。
もしかして月見は……あの夢と何か関係があるのか?
疑問を抱き、そのまま考え事をしていると、真冬と未鶴が俺の方に蔑みの目を向けてるのと、おっさんがニヤニヤ顔で見てるのに気づき、ハッと我に帰る。
「つ……月見、俺が悪かった。だからその……そろそろ離れようぜ……」
赤くなった顔を見せない様に後ろを見ながら月見を引き剥がすように離れると、少し首を傾げながら上目遣いでこっちを見た。
こーやって見てみると、やっぱ月見って美人なんだな。
色々限界来そうで危なかったー……
「岳斗、お前見かけによらずに手練れだな? やるじゃねぇか」
「このタラシが」とおっさんにニヤニヤされながら肘で突かれ、「別に何もしてねぇし、手練れでもねぇよ」と顔を背けながらぶっきらぼうに答える。
「とにかく、今はここで突っ立ってても仕方ねぇし……一旦、本部に戻るか。怪我人も居るからな」
タバコを口に咥え、本部に戻ろうと1人で歩き始める。
一瞬、疾風の横を通り過ぎる時に何かを呟いたのか、少し驚いたような顔をすると、疾風は直ぐに顔を伏せた。
「ほら、お兄ちゃんもさっさと行くよ!!」
「いっ! 痛たたっ!! 捥げる捥げる!! 俺も怪我人なんだから優しくしてくれよ!! 」
「うっさい変態兄貴! 月見さんにハグされてヘラヘラしてたくせによく言うわ!! 」
真冬に耳を引っ張られながら木下のおっさんの方へと向かう。
あのままおっさんの助けが来なかったら死んでた。真冬ともこんな風に言い合うことももう出来なかっただろう。
結構身近に居るから気にしてなかったけど、そう考えると、八大幹部ってやっぱすげぇんだ。
おっさんには感謝するしかねぇな。
「つーか、そろそろ耳を離してもらえませんかねぇ……まじで耳千切れそうなんだけど」
「そのまま千切れてしまえ、クソ兄貴」
「ちっ、まな板隠れ腐女子の癖に生意____」
「それは言うなぁぁぁ!!! 」
右腕を俺の首にまわし、左腕で右腕を抑えて俺の首を絞める。
「ま、待て、首を絞め____」
ボキッと骨が折れる音が響き、「あっ」と言う声が聞こえた気がしたが、真冬の馬鹿力で俺の意識はもう遠くに飛んでしまっていた。
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