86話 ページ37
岳斗side
切り落とされた右腕は地鳴り起こしながら地面へと落ち、黒いリクトルが右腕から噴水のように噴き出る。
「グォォォオオオ！！！！！ 」
「なん……だ……？ 」
魔隆は右腕を抑えて背後へと引き退っていく。あまりに速い出来事に俺の頭は追いついていなかった。
最後の力を振り絞って振ろうとした一瞬早く、黒い刃が飛んできて鉄の様に硬い魔隆の右腕を切ったのだ。
「仲間を見捨てない度胸、ルールすらも破る勇気……やっぱお前おもしれぇよ。脱落させなくてよかったぜ」
煙臭いタバコの匂い、聞き覚えのある低い声、直ぐに誰なのかわかった。
俺達の事をブレイダーにし、俺達にチームを強制的に組ませた張本人。
滅茶苦茶だけど、今の俺達を救ってくれた人。
その人は黒い大太刀を肩に乗せ、タバコを口に咥えながら、俺の横を通ると同時にポンと優しく手を俺の頭に乗せる。
「よくここまで耐えたな、岳斗。後は俺に任せろ、直ぐに終わらせてやる」
「……来んのがおせぇんだよ……おっさん」
「グゥゥ……！！ グォォォォォオオ！！！！ 」
標的を木下のおっさんの方に変えると、魔隆は残りの3本の腕でおっさんに向かって怒涛のパンチラッシュを放つ。
拳が放たれる度に風圧が襲い、背後にいるソラ達も吹き飛ばすような勢いだった。
「グオゥ……」
攻撃が終わると砂煙で包まれたその場所を見下ろし、魔隆はニタァと笑った。
だが、何か違和感を感じたのか、3本の腕を見る。
それを見ると、魔隆の顔は一瞬にして青ざめ、笑顔を失い、カタカタと震えだす。
「どうした、顔色が悪いじゃねぇか。もしかして……これを探してんのか？ 」
砂煙が晴れると、おっさんは無傷のままの姿で立っており、おっさんの周りには大きな三つの手が転がっていた。
「グァッ！？ 」
「さてと、折角の機会だ。ここでガキどもにもっといいギアの使い方ってのをレクチャーしてやろう」
「グォォォ！！ グォォォオオ！！！！！ 」
激怒した魔隆は痛みに悶えながらも、地響きを起こして木下のおっさんの方へと走っていく。
「いいかお前ら、ギアってのは……こうやって使うんだ。ダークネスギア」
暗闇が大太刀の刃に纏うと、黒い足場の様なものが現れ、それを使って高く飛び上がる。
落下していく時に大太刀を構え、地面に足がつくのと同時に大太刀を振り下ろした。
すると、魔隆の身体に真っ直ぐな線が現れ宝石ごと身体は真っ二つに切れ、血を吹き出しながら倒れていった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
