75話 ページ26
岳斗side
「その様子だと、本当に何も知らない状態になってるみたいだね……月見ったら、親切に教えてあげてもいいじゃんか。考えようによっては生かす事になってたのに」
その言葉に月見は顔を少ししかめる。
どういうことだ？ 何も知らない状態？ 俺が何かを忘れてしまってるって事か？
意味がわからない。考えれば考えるほど頭がこんがらがる。
一体こいつは何を言ってるんだ？
「ありゃ？ よく見ると顔の見知った人が他にも2人いるじゃないか。これを彼らが知ったら飛び上がるほど喜ぶだろうな〜♪」
「見知った顔ですって……？ 」
「うん、そうだよ。自分可愛さの為に他人を平気で見捨てた外道達の顔がね！ 」
そう言うと、永也と聖がピクリと動く。
それを言われた永也は涼子から目線をそらして表情を見せない様にし、聖は顔を伏せた。
平気で見捨てたってどう言う事だ？
それにあの2人がその言葉に反応するなんて……あいつは、2人の事も知ってるのか？
「おい涼子、余計な事を言うなと言ったはずだ。後々面倒くさい事になるだろ」
「別に良いじゃん。どーせ、あの三人もその内会うことになるんだしさ」
「三人……？ 他にも仲間が居るのか」
「うーん……三人というか……詳しくいうと、二人と一匹かな？ あれを人の中に入れて良いのかわかんないし。まぁいいや、僕達で倒すのもなんか面倒くさくなってきたから……」
右手で指を鳴らすと、路地やビルから黒いローブに不気味な１つ目の布を顔の前に垂れ下げた者達が大勢現れる。
「後は好きにやっちゃって、信者さん達」
信者と言われる奴等は俺達に近づき、誘導されるかの様に中央へと固められ、周りは信者達に囲い込まれてしまう。
「なんなのよ、この不気味な奴等は！ 」
「この人達はラヴァルダート教団の信者、教団内では『魔従』と呼ばれてるわ」
「ラヴァルダート教団って……あの理想主義な過激派宗教とも言われてるとこだよね？ なんで宗教団体がブレイダー殺しと……」
「わかんねぇけど……なんかヤバそうな匂いはプンプンするぜ……！！ 」
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