70話 ページ21
岳斗side
「！ フレアスブレイド！！ 」
頭を瞬時に回転させ、フレアスブレイドを出し、攻撃が当たるよりも一瞬早く受け止める。
だが、その攻撃の重さで潰されそうになる。
「くっ……このっ……！！ 」
「岳斗っ！！ 」
月見は自分の大鎌型のレイヴン、クライスサイズを出し、男に刃を振り下ろすが、俺から離れてその攻撃を飛んでかわす。
「岳斗は下がってて！ 」
「月見……！ 」
月見は俺を守るようにクライスサイズを構える。
その時の月見の表情は、初めて見る敵意と動揺が混ざった焦燥の顔だった。
「ちっ……仕留め損ねたか」
白髪に黒メッシュが入っている青年はこちらに睨みを効かせる。
その時見た青年の右目には、切り裂かれて焼かれた様な傷跡があった。
「ははっ、敵意むき出しじゃねぇか。月見」
「……正直、貴方とは会いたくなかったわ。大和」
月見と大和という青年は互いの事を睨み合いながら名前を呼ぶ。
「月見さん、もしかして知ってる人なの？ 」
「えぇ、私は彼……いえ、『彼等』をよく知っているわ」
彼等という言葉に少し引っかかる。
彼等という事は、他にも仲間がいるってことか？
いや、重要なのはそこじゃない。
「レイヴンを持ってるって事は俺らと同じブレイダーのはずだよな！？ なんで、ブレイダーがブレイダーを攻撃してくるんだよ！！ 」
「おかしいのだ！ レイヴンを使って人を攻撃するのは禁止のはずなのだ！！ 」
そう言い放つと、ソラは背後から黒くパンクなTシャツを着た少年に頭を掴まれ、地面に押し倒される。
「それは、ノラ達がブレイダー殺しだからだぜ。赤猫」
「っ！？ 」
「ソラちゃん！！ 」
「ソラッ！！ 」
ソラを助けようと急いで走り出すが、上から黄緑色の光が放たれ、目の前の地面にぶつかり、大きな焼け跡が残る。
「独り占めするなんてずるいよー、僕達にもやらせてよー」
3階建てのビルの屋上から、大きな爪がついた大砲を左腕に装着した猫耳ニット帽の青年と、逆さ持ちで二つの剣を持った青と緑のボーダー柄のヘアバンドをつけた青年が飛び降り、聖達の前に着地する。
「！ ディストラトスピ____」
レイヴンを出そうと右手を広げるが、その頃には既に聖の首には剣が突きつけられていた。
「えっ……！？ 」
「遅い、今ので20回はキルできるな」
「っ……！ 」
ヘアバンドの青年は冷たい視線を送る。
それを見た聖は、何かを察したのか冷や汗を出して顔を青ざめさせた。
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