67話 ページ18
岳斗side
「お、おいお前ら……それ……猫だよな？なんで喋ってんだ？ 」
バッグを隠そうと二人で背中を向けて1番後ろの方に居たが、貴史のその言葉にビクッと肩を震わせ、俺達はゆっくりと貴史の方を見る。
貴史は目を見開いてこっちに指を指していた。
だが、貴史に見られたという事に俺達も焦っており、貴史の比にならないくらい汗を吐き出していた。
やばいやばいやばい！ 完全に貴史にバレた！ 喋る猫なんて普通なら居るはずもない、他の人にバレたら魔隆だと思い込まれてまずい事になる！ どうする……どうする……！
「そ、そういう猫のおもちゃなんだよ」
弁解する方法を考えていると、聖は貴史に向かってそう答えた。
「ほら、話しかけると喋るっていうおもちゃって最近あるでしょ？ それの奴だよ。僕達って下に弟とか妹とかがいるからさ、昨日プレゼントに買って、そのまま入れちゃってたみたい。ね？ 岳斗君」
聖は俺の方に顔を向け、便乗してくれと言わんばかりの目で俺をジッと見た。
俺は直ぐに聖の考えてることを察し、小さく頷く。
「そ、そうそう！ 家に置いてくの忘れてたみたいでな、まさか2人して置いてき忘れちまうとはなー」
「ソラ達はおもちゃじゃ____」
笑って誤魔化しながらも、咄嗟にソラの口を手で塞ぐ。
「おもちゃ……なーんだ、おもちゃか！ ビックリさせやがって！！ 」
明るく笑う貴史を見て、俺達は貴史がバカだった事を知ってホッと安心する。
だが、安心するにはまだ早かった。
『ビーッ！ ビーッ！ ビーッ！ ビーッ！ 』
突然、右手首につけた通信バングルからブザーのような音が教室に鳴り響く。
それは俺だけじゃなく、聖と月見もだった。
「任務か……！ 」
通信バングルを見ていると、『任務・D級魔隆を討伐せよ』という電子的な文字が浮かび上がってきた。
通信バングルにある赤いボタンを押すと、ブザー音は止まり、通信バングルに付いたカメラから出現場所と推定危険度レベル、魔隆出現数が映し出される。
「場所はあの時の大通り、出現数は10体か……そこそこ多いな」
「推定危険度レベル15〜28、早くしないと被害が出てしまうわね」
「貴史、後は頼むぜ！！ 」
「おうよ、頑張ってこいよ！！ 」
俺達は鞄を取り、教室から飛び出し、急いで出現現場へと向かった。
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