常守朱3 ページ5
「縢くん!?」
『あっ、もしもし』
焦って声をかけるとすぐに返事が返ってきて安心した。
よかった…もしもの事態が起こったのかと…
「保護できた?」
『無事保護したから』
「そう、良かった…」
『うん結構簡単につか…保護した』
どうやら任務は成功したみたいですホッとした。
しかし少し歯切れの悪い返事が気になる。
「手荒なことはしてない?気絶なんてしてないよね?」
『えっ?気絶?させてないって』
あやしい。
するとイヤホンから別の声が聞こえてきた。
大音量で。
『縢!手荒なことをするなと言ったはずだ!!あれはあぁするために渡したんじゃないぞ!』
『あー、はいはいそんなに怒んないでって…』
やっぱり嘘だったんだ…
そう確信してため息をつき、車を先程の場所に回す。
『いやごめんって』
『反省していないだろう!』
「あの、会話遮ってごめんなさい…いま車回すからその子連れて来てくれる?」
『うん、はい、今行きます』
彼は説教から逃げるようにプツリ、と通信を切った。
私も怒り狂う宜野座さんの声が耳に響くものだから音量を落とす。
…にしてもなぁ…縢くん、理由なしに人に乱暴する人じゃないし、そもそも私たち監視官が近くにいるときはしないのに。
何かあったのか。
そんなこと頭の片隅によぎった。
「で、これが例の子供か」
「ナミモリチョウのサワダツナヨシくんだってさ」
「ナミモリ?どこだそれ」
「ナミモリ…あ、ここじゃないですか?」
検索をしてみると、要注意区画として指定されていた地域だった。
「"並盛町"か、物騒だったらしいな昔は」
「いい噂は聞かなかったが廃棄区画よりはマシな町だったとは聞いた」
暴力団がいるだの、都市伝説の喋って歩く赤ん坊がいるだの…もう聞かなくなったがな、と宜野座さんが続ける。
そんなところから来たんだ、あの男の子…
「あの、私唐之杜さんのところ行ってきますね」
「俺も行く」
少年が目を覚ましたか聞きに行こうとすると狡噛さんも気になるのか、加えていたタバコの火を消してついてくると言った。
「…何かと気になることがあってな」
眉根を寄せて思案する姿に、なにか不安を覚えた。
…あの少年に、何かあるのか。
パッと見は普通の男の子だけれど身を引き締めなければ、自分の両頬を手で叩いて、狡噛さんを連れて分析室へと足を運んだ。
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モヤシ - クロロクさん» コメントありがとうございます。そして申し訳ございません。恐らく今後の更新の可能性はございません。続きを楽しみにしてくださっていたのに本当に申し訳ありません。そして、応援ありがとうございました。 (2019年2月19日 3時) (レス) id: e278d8c87c (このIDを非表示/違反報告)
クロロク - とっても面白くて続きがメッチャ気になります。 なので頑張ってください! 応援してます!! (2016年11月12日 22時) (レス) id: 912789403d (このIDを非表示/違反報告)
モヤシ(プロフ) - かえぽんさん» ありがとうございます! 都合が合えばすぐに更新いたします!お待ちくださいませ。 (2015年8月22日 10時) (レス) id: 98a9382af4 (このIDを非表示/違反報告)
モヤシ(プロフ) - 三崎さん» ありがとうございます\( ´ω` )/ (2015年8月22日 10時) (レス) id: 98a9382af4 (このIDを非表示/違反報告)
かえぽん - めっちゃ面白いです!この続き…できればお願いします!orz (2015年8月4日 16時) (レス) id: 6a09bcb759 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣姫 モヤシ | 作成日時:2015年1月20日 14時