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「ーーー前回は一人、穢れた血が死んだ。今回もそうだと良い、僕ならグレンジャーを選ぶね」
その言葉にクラッブが勢いよく立ち上がった。
大きな拳を握りしめているのを見て、ハリーは急いでその身体の前に立ちはだかる。
「どうしたお前達？今日はなんだか変だ」
「真緒だったらどうするんだ」
「は？」
怒りの余り口走ったロンにハリーは目配せをするが、気づいてくれない。
「真緒は、純血だ」
クラッブらしからぬ行動と言動に少し驚いたようだったが、ドラコは静かに言った。
「クラーー」
「でもスクイブだ！」
ハリーの制止は届かず、更にロンが言い、「なんだって？」とドラコが眉をひそめる。
ハリーは顔をしかめる。
(何でそんなこと言うんだロン！)
そして、その前髪が赤くなり始めていることに気づいた。
目の前のクラッブは�狃�が！�瓩噺�パクで言って目を見開いている。
「おいクラッブ、誰から聞いた？」
「わ、忘れた」
「思い出せ！」
「多分、大広間できいたんだ」
「そうだ、グリフィンドールの誰か…」
ドラコはスクイブという衝撃の言葉で動揺していたことは幸いだった。
もう隠せないと、二人は連れ立ってスリザリンの寮から走り去った。
変身が解けて、幾分か大きいローブをズルズルと引きずって、例の女子トイレへと歩く。
「マルフォイの奴、自分と話してくれる女子は全員気があると思ってるんじゃないか？」
ロンはニヤニヤとしている。
ハリーは「そりゃ、おめでたいよ」と相槌を打って続けた。
「けどスクイブだっていうのは言わなくて良かったかもね」
「マルフォイが少し冷たくなったからって真緒が落ち込むか？」
(いや、あれはどう見ても…)
冷たくするとは思えなかった。
ぶつぶつと呟いていたドラコの「スクイブだとしても…」とか「けど純血なら…」という言葉が耳に残る。
ロンはハーマイオニーの名前を呼びながら、トイレへと駆け込んだ。
「ハーマイオニー！」
「こないで！」
「何で？出ておいでよ、マルフォイの秘密を掴んだ！」
「継承者なの？」
「違うよ！」
許可なく真緒と話すなと命令していた、真緒が自分を好きだと思い込んでいる、スクイブと知ってどん底に落とされたような顔をしたーーーーといったことを、ロンはこれ以上ないくらいほくほくとハーマイオニーに報告する。
恋するドラコの姿は、ハリーに衝撃を与え、とてもロンのような気分にはなれず、ハリーはぶるりと肩を震わせた。
fin.10
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作者名：M.S | 作成日時：2019年10月13日 11時
