プラチナの王子様 (ページ20)

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5-1:王子様の苦戦ページ20

謎の小包みを押し付けてきた真緒にハテナを浮かべながら、ドラコは他の選手らと競技場へと向かった。

つい先ほど、ウィーズリーがナメクジを吐き出すのを皆で笑っていた。

そこに真緒がやってきたから、選手になったことを自慢してやろうと思った。

〝そう、良かったわね〟

絶対に良かったと思っている言い方ではなかった。

しかも驚くほど冷たくそう言った真緒は、ドラコに〝失望した〟と、〝もう話しかけるな〟と続けた。

一体何故ーーー箒を自慢したからだろうか。

それにこれは何なんだろうか。

「おい、呪いがかかってるかもしれないぞ」
「何を貰ったんだ？」

「呪いなんてかけるような奴じゃない」

赤い布に包まれたそれをちらちらと観察するドラコに、チームメイトらが声をかける。
失礼なことを言ったチームメイトにはきっちり釘を刺しつつも、自信は無かった。

何しろ、見慣れない包まれ方をしているのだ。

ドラコは開けてしまおうかとも考えたが、キャプテンのフリントが許さなかった。

「皆、箒に乗れ！」

最新型のニンバス2001の乗り心地や性能を飽きることなく確かめた後、皆が「優勝はもらった」と口々に言いながら更衣室へと戻る。

そんな中、疲れた選手達の鼻腔を擽る甘い香り。

空腹の選手達の目が光る。

「お、差し入れか？」

「丁度腹ペコだったんだ」

「誰だ？気の利く奴もいるんだな」

「マルフォイ、いらないのか？」
「いらない」

(そんな甘ったるいもの、運動直後に食べられるわけないだろ…)
そう思いながら、ドラコはようやく思い出した。

「どけ、ピュシー！」

一回り大きい選手を押しのけたドラコの目に、目の前の大きな赤いハンカチと空の皿が飛び込む。

「おい！僕がもらったものだぞ」

「いらないっていったじゃないか」
「そうだぞ」

残念ながら主張するには遅すぎた。

何一つ残っていない皿とハンカチだけがドラコの手元に残った。

＊

翌日になって洗濯されたハンカチが返ってきた。

拡大呪文がかけられていたらしく、普通サイズに戻っている。

(皿が返ってこなかったってことは、学校のか…)

手作りでないことに少しばかりがっかりしたが、学校のものなら他の奴に食べられたとしてもまあ良いかと割り切った。

食べてはいないものの貰いっぱなしという訳にもいかず、何かあげるものはないかと自室でごそごそとお菓子を探した。

(確か甘いものが好きだったはず…)