ほんのり甘い日常【プロセカ・短編集】 (ページ6)

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『………っ、ご、ごめん！！』

と、咄嗟に言葉が出た。

その後、これだけだと＂私はあなたが好きじゃありません＂みたいな意味に思われちゃうかもしれないと思ったので、すぐに

『わ、私もう帰るね！！冬弥くん、勉強教えてくれてありがとう！！』

と言った。

そのまま大慌てで机の上の荷物をカバンの中に詰め込む。これ以上この場にいたら本当に熱出る！！何なら既に顔熱いし！！

「……そうか」

冬弥くんは特にアクションを起こす事なく、その一言だけを口に出した。

『え、っと、じゃ、じゃあまた明日！！本当にありがとうね！！』

私は座っていた椅子を倒しそうになりながら、逃げる様に図書館から全力疾走で出て行ったのだった。

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『少し、押し過ぎてしまっただろうか……』

Aが帰った後、暫くして俺はそう言葉を溢した。

Aの居なくなった図書館はいつも通り静かで、読書をするのに適した場所である筈なのに、なんだか寂しさを感じる。

俺以外の誰も居ない図書館。
それを良いことに俺は言葉(独り言)を続けた。

『……でも、頑張って勉強している時の真剣なAの顔も、終わった後Aから貰うありがとうも、テストで点を取れた時に嬉々として報告しに来るAも、全部、』

俺だけが知っていたい。俺だけ知っていたらいい。

テストで点が低いと、気まずそうにノートと教科書を待って教えてほしいと言いに来るのも、

普段は勉強が苦手だと言うのに、俺と図書館で勉強している時は何故か時間を忘れて、いつの間にか暗くなった窓の外を見て驚いた顔をするのも、

『……独占欲、彰人にはそう言われたな』

彰人には、俺がAを好きだということが、Aにばれていないのが不思議な位らしい。

相変わらず表情には出ていないと言っていたが、言動や行動があからさまだと。

逆に、そのお陰でAが勘違いしてくれているとも。

『……いつまでも勘違いされたままなのは、俺も嫌だ』

俺は、Aが慌てて帰った後置いていきっぱなしにしていた筆箱を見る。

そのままAの筆箱を自分の鞄に入れ、荷物を纏めて図書館を出た。

〔筆箱を忘れていたから、明日の朝教室で渡してもいいか？出来ればいつもより少し早く来て欲しい〕

と携帯でメッセージを送って。