TraumⅢ【短編集】 (ページ10)

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病弱少女とお姫様/ゼルダページ10

出会いは病院の裏庭。
発作を起こして蹲っていた私を、イベントで呼ばれていたゼルダさんが見つけてくれたのがきっかけ。

「A！」

あれから彼女は週に2、3回のペースで私の元へ来るようになった。
彼女の住む場所と病院はそこそこの距離があったはずだ。怒られたりしないのかと問えば、『内緒で抜け出してきてるの』と。
いつも窓から入ってくるのはそれが理由だったか、なんて納得したのはいつの話だったか。

「⋯⋯今日は元気が無さそうですね。どうかしたの？」
「わたし、明日手術なんだ」

私の言葉にゼルダさんは狼狽える。
そうだろう。いきなり明日手術でーなんて言われたら誰もが戸惑うに決まってる。

「そう、だったんですね」
「うん。だから1ヶ月くらいは会えなくなると思う」

けど手術が終われば自由に外出できるようになるって！と笑ってみせる。
彼女は何か言おうと口を開いて、そして閉じる。

数秒か、数分か、はたまたもっと長い時間か。
彼女は意を決したように私の手を握る。

「絶対に手術は成功します。リハビリが終わったら、一緒にショッピングへ行きましょう」

私は頷いて、ゼルダさんの手を握り返した。

「約束だよ」
「えぇ、約束。破ったら駄目ですよ」
「うん」

＊＊＊

お題メーカー様より『淑やかに厭うナースコール』

この後無事手術も終わりリハビリも進み、ゼルダとショッピングに行くお話を書く予定でしたが上手くまとまらなかったので止めました。