TraumⅢ【短編集】 (ページ29)

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こわがりなキミに勇気をあげる/子どもリンクページ29

※短い

「大丈夫」

少年は少女の背中をさする。

ごめんなさい、ごめんなさい。
誰に向けてかわからない謝罪を繰り返す少女の背中を優しくさすりながら少年は声をかける。

「大丈夫だよ、ぜったい」

少女の声が止まる。
彼女の視線は地面から少年へと向けられ、ガラガラになったか細い声で言葉を告げる。

「なんで、ぜったい、って言い切れるの」

少年は自信に満ち溢れた笑みで

「僕がついてるから」

と。

少女はぽかんと呆気に取られた後、何を言われたか理解したようでくすくすと笑い出す。

「そっか。そうだね、リンクがいるもんね」
「そう。だから大丈夫。怖がることなんてないよ」

少女はリンクの手を握りしめる。
その温もりを確かめるように、離さないように。

「⋯⋯ねぇ、もう一度⋯⋯大丈夫って言って」

リンクは少女と目を合わせ

「Aなら大丈夫」

──Aは、意を決したように頷いた。