TraumⅢ【短編集】 (ページ23)

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──リコリスが『事態が起きる前』に解決するチームなら、俺たちは『事態が起きた後』に解決するチームだな。

アイツが言っていたこと、今ならよくわかる。

ついさっき銃を撃った男を人気のないところへ誘導し、少しずつ追い詰めていく。

「なぁ」
「ひっ」
「無闇矢鱈に撃ってたら当たるものも当たらないよ」

持っていた銃を相手の眉間に当てると、男は引きつった笑いを浮かべながらあれやこれやと口を動かす。

「お、お前の目的はなんだ！金か！？金ならやる！！だから見逃してく」

引き金を引けば相手は血を吐きながらふらりと倒れた。
特殊な弾で殺傷能力は高くないと言えど、やはりそれなりの威力はあるらしい。

「こちら終わりました」
「了解。後は俺たちとリコリスに任してくれ。⋯⋯休日にすまなかったな」
「いいえ。では」

銃を拭いて鞄にしまう。

さぁ、戻ろう。大切な人の元へ。

＊

「A、お待たせ」
「ほんとだよ。何があったの？」
「それは秘密。さ、行こ」

少年は少女の手を握る。
少女は微笑んで握り返す。

少年も、少女も、本当のことは知らない。
けれどそれでいいのだ。

だって、不都合なことは何も起こらないのだから。

＊＊＊

『リコリス』な夢主と『リリベル』なリンクのお話。