TraumⅢ【短編集】 (ページ15)

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大きくなっても可愛いまま/ガオガエンページ15

私には大切なポケモンがいる。
幼い頃に拾ったニャビー。

産まれたばかりだったのだろう。
たまごの殻につつまれた彼は、私を親と勘違いして着いてきてしまったのだ。
今はその勘違いも解けたけど、「この人は親ではない」とわかった時の彼の顔はすごく面白かったなぁ。

そんな小さかった黒猫もぐんぐんと成長して、今では私よりも遥かに大きく逞しくなってしまった。
それは、もう、昔の面影がほとんど無いくらいに⋯⋯

「ガオガエン、お疲れ様」

いや、嘘だ。
姿こそ変われど中身は同じ。

試合に勝利した彼は、嬉しそうに走りよってくる。

かわいいかわいいと甘やかして育てたせいか、こんなに大きくなった今でも彼は気にせず甘えてくる。
その様子は今でも可愛らしいと思う、が、いかんせん体が大きいので

「ちょ、スピード、ぐえっ」

体の小さい私では彼の突進を受けとめきれない。
思わず後ろに仰け反ると、彼は慌てて私の体を支えてくれた。

ごめん、と言うように小さく鳴くガオガエン。

「ふふ、いいよ。次から気をつけてね」

やっぱりいつまで経ってもかわいいものはかわいいまま。
その可愛さに免じてあげましょう、と許してしまうのは甘やかしすぎでしょうか。

＊＊＊

人前ではガオガエンの『イメージ』にあった行動をするけど、トレーナーの前ではニャビーやニャヒートの頃と同じように甘えてきたら可愛いなぁと思ったので。