46.ホントは……？ ページ8
杏side
私がものを言い掛けた時に、お客さんが来たと思って振り向いた理奈の顔が強張り、見てるうちにその顔が焦りや恐怖に満たされていくのを感じた。
まさか。そう思って後ろを見ると、やっぱりそこには遥がいて。遥も理奈も、お互いの名前を呼んでそのまま黙ってしまった。
私は笑顔で迎えたけど……理奈は不安を感じたのか、立ち上がって持って来ていたバッグを手にしてここから出ようとした。
それを止めた遥はなんとか話をしようと口を開いたのだが……彼女の顔を見て、固まった。私も思わず息を呑んだ。
理奈の顔が、すごく冷たかった。睨み上げたその瞳の奥からは何も感じられない程に暗く濁っていて……。
私がハッとした時には理奈は外を出ていて……思わず彼女の名前を呼んだけど、聞こえなかったみたいで、そのまま扉は閉まってしまった。
遥「……理奈……」
騒音の中の沈黙の後、遥が理奈の名前を呟く。そして、彼女の目に涙が溜まり始めた。
さすがにここで彼女が泣けば、周りが騒然とするだろう。それだけは避けなければ。
杏「遥、私の部屋に行こ。ここで泣くのはダメ」
私が遥の方に手を置いて言うと、遥は今にも泣きだしそうな顔をしながらも、静かに頷いた。
私は彼女の手を取り、お父さんに事情を説明すると私の部屋へと足を進めた。
＊＊＊
静かな部屋で、遥がすすり泣く声が響く。
無理もない。あんな目で理奈に睨まれたら、どうすればいいかも分からないし、正直怖い。
あんな理奈の顔、初めて見た気がする。昔だって、あんな顔しなかったのに……。
遥「私……やっぱり嫌われてるんじゃ……」
杏「それはない！それだったら理奈が……」
そう言い掛けて、言葉が喉に詰まった。
……ホントにそうなのだろうか。もともと理奈は、私達に合わせていただけだったのだろうか。
ホントの仲良しとは……幼馴染みとは、思ってなかったのだろうか。
信じたくないけど……でも、もしそうだったら……。
不安でいっぱいになりそうになった、その時だった。
杏「……！？」
遥「……！！」
今、光が……遥のスマホの画面が、光った。
遥「……なんで……？」
遥は半信半疑、といった様子で自分のスマホを確認する。
そこで見つけたのは……。
遥「……『Untitled』……！？」
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ぽっカラ(プロフ) - ふゆさん» 読んでくださり、誠にありがとうございました！楽しんでもらえてとっても嬉しいです！まだまだ拙い文章しか作れませんが、よろしくお願いします！ (2022年1月4日 15時) (
レス) id: c1afce4da1 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆ - コメント失礼します。ランキングから見つけて一気読みさせていただきました。透明感のある、きれいで良いお話でした。最終的にとても良いハッピーエンドを迎えられてよかったです。私もこんな繊細で美しい文章が書けるようになりたいです。ラストまで、お疲れ様でした! (2022年1月3日 23時) (レス) @page21 id: cbb6d6ebb3 (このIDを非表示/違反報告)
ぽっカラ(プロフ) - ツクヨミさん» 読んでくださり、誠にありがとうございました。 (2021年12月19日 19時) (レス) id: c1afce4da1 (このIDを非表示/違反報告)
ツクヨミ(プロフ) - いい話でした、お疲れ様でした (2021年12月19日 18時) (レス) @page21 id: 8fcd9949a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽっカラ | 作成日時：2021年6月20日 15時
