44.怯えてしまうのは ページ6
＊
後日、私はまた『WEEKEND GARAGE』にやってきた。
杏「あれ？理奈じゃん！いらっしゃい！」
理奈「こんにちわ、杏」
『WEEKEND GARAGE』に入ると、杏がニッコリ笑顔で出迎えてくれた。私も思わず頬が緩む。
カウンターにいる謙さんに砂糖の入ったコーヒーを頼む。
杏が接客を終わらせて私のもとにやってきた。
杏「理奈、最近いいことでもあったの？」
理奈「……推しに会った。モモジャンの」
杏「あれ、理奈ってモモジャンの配信見てたんだ！遥が出てるから見ないかと思ってた」
理奈「アイドル配信と現実は関係な……待て、なんでそんなこと言う」
杏「遥からいろいろ聞いたよ。喧嘩したんだって？」
理奈「……遥……どんだけ皆に話してるんだ……」
そんな話をしながら駄弁る。
すると、杏が本題に入るように私に問い掛けた。
杏「ねぇ、まだ仲直りする気ないの？」
理奈「……何故？」
杏「遥と仲直りしたいんじゃないの？」
杏に言われ、言葉が喉に詰まる。
確かに、したい。けど……。
理奈「……そんなに、簡単じゃないよ。仲直りするのも」
そう、弱々しくなるように呟いた。杏は黙って私を見つめる。
遥だって、あんなこと言われたら怒らないわけがない。恨まれたって、仕方ない。
息苦しい中、長い沈黙を破るように杏が口を開いた。
杏「理奈の気持ちは分かるよ？でもさ……遥は……」
理奈「…………」
分かってる。遥は私が思ってるよりも怒ってない。逆に、心配してる。そんなの、一歌や咲希ちゃん、みのりちゃんや杏の話を聞いてたら、分からなくもないことだ。
……でも、怖いんだ。
また私が、遥を傷付けてしまうんじゃないかって思ったら、仲良しに戻りたくてもそれが怖くて出来ない。
その不安を纏った茨の壁が、自分を守ろうと茨を外そうとする者を襲ってしまう。
それが怖いから。無意識に皆を傷付けるのが怖いから。
押し黙っていると、杏がやれやれと呆れるようにため息をついた。そして、口を開く。
杏「あのさ、理奈は……」
ｶﾗﾝｶﾗﾝ。
杏が言い掛けた時、カフェの入り口のベルが音を立てた。私は癖で、その入り口に目を向けた。
背筋が凍った。
振り向いてしまったのがまずかった。そう思っても、もう遅い。
カフェの入り口。そこに立っていたのはーー。
「……理奈……？理奈、なの……？」
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ぽっカラ(プロフ) - ふゆさん» 読んでくださり、誠にありがとうございました！楽しんでもらえてとっても嬉しいです！まだまだ拙い文章しか作れませんが、よろしくお願いします！ (2022年1月4日 15時) (
レス) id: c1afce4da1 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆ - コメント失礼します。ランキングから見つけて一気読みさせていただきました。透明感のある、きれいで良いお話でした。最終的にとても良いハッピーエンドを迎えられてよかったです。私もこんな繊細で美しい文章が書けるようになりたいです。ラストまで、お疲れ様でした! (2022年1月3日 23時) (レス) @page21 id: cbb6d6ebb3 (このIDを非表示/違反報告)
ぽっカラ(プロフ) - ツクヨミさん» 読んでくださり、誠にありがとうございました。 (2021年12月19日 19時) (レス) id: c1afce4da1 (このIDを非表示/違反報告)
ツクヨミ(プロフ) - いい話でした、お疲れ様でした (2021年12月19日 18時) (レス) @page21 id: 8fcd9949a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽっカラ | 作成日時：2021年6月20日 15時
