41.遥ちゃんの幼馴染み ※遥とみのりの少し前の話 ページ3
＊
それはアイドル活動のためのダンス練習を終えたある日のことだった。
愛莉ちゃんや雫ちゃんは一足先に帰り、私と遥ちゃんだけが屋上にいた時のことだった。
みのり「それじゃあ、帰ろっか！」
そう遥ちゃんに声を掛けて彼女の方を振り向いた時、遥ちゃんは自分のスマホ画面を見ながら悲しそうにしていた。
みのり「……遥ちゃん？」
遥「！あ、ごめんね。帰ろっか」
再度声を掛けると、遥ちゃんはハッと我に返った様子で一瞬目を丸くして私にそう言った。
それがなんだかモヤモヤして、思い切ってその原因を聞くことにした。
みのり「……遥ちゃん、どうしたの？なんだか元気ないし……よかったら、話聞くよ？あ、でも役には立たないかもしれないけど……」
言ってる途中で少し不安になり、付け加えて言った。
そしたら、「じゃあ、少しだけ聞いてもらえる？」と返事が返ってきた。もちろん、私は「うん！」と頷いた。
それを見た彼女はさっき見ていたスマホ画面を私に向けた。そのスマホ画面には写真だと思われる、二人の小さな女の子が笑っている風景が映されていた。
私が聞くと、「私と、私の幼馴染み」と答えてくれた。確かによく見ると一人は今の遥ちゃんに似てる……こんな時まで可愛かったんだな、と思う自分に何考えてるの、と自分でツッコミを入れる。
一人漫才を心の中でしていると、遥ちゃんは重々しい声で話し始めた。その幼馴染みさんとのことを。その時の彼女はとても辛そうだった。見てると私まで苦しくなっちゃいそう。
遥「あの時、悲しかった。私、もしかしたら彼女を傷付けちゃったのかもしれないって思うと……」
うつむき加減でそう呟く遥ちゃんの目にはほんの少し、涙が溜まっていた。
……でも……。
みのり「だ、大丈夫だよ！」
遥「え……？」
私の言葉に、遥ちゃんは目を丸くする。
みのり「だって、そんなに仲良しだったのにいきなり嫌いにはならないと思うよ！きっと、その子もその子で何かあったんじゃないかなって、私は思うよ！」
話を聞いていて、その幼馴染みさんにはきっと理由があるはず。遥ちゃんが悪いことをしたわけではない。そう思った。きっと、そうならなきゃいけないと思い込んだ理由があるはずなんだって。
遥「そう、なのかな。私、また彼女と仲良くなれるかな……？」
みのり「なれるよ！きっと大丈夫！」
私はそう言って、遥ちゃんに笑ったんだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 42人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぽっカラ(プロフ) - ふゆさん» 読んでくださり、誠にありがとうございました！楽しんでもらえてとっても嬉しいです！まだまだ拙い文章しか作れませんが、よろしくお願いします！ (2022年1月4日 15時) (
レス) id: c1afce4da1 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆ - コメント失礼します。ランキングから見つけて一気読みさせていただきました。透明感のある、きれいで良いお話でした。最終的にとても良いハッピーエンドを迎えられてよかったです。私もこんな繊細で美しい文章が書けるようになりたいです。ラストまで、お疲れ様でした! (2022年1月3日 23時) (レス) @page21 id: cbb6d6ebb3 (このIDを非表示/違反報告)
ぽっカラ(プロフ) - ツクヨミさん» 読んでくださり、誠にありがとうございました。 (2021年12月19日 19時) (レス) id: c1afce4da1 (このIDを非表示/違反報告)
ツクヨミ(プロフ) - いい話でした、お疲れ様でした (2021年12月19日 18時) (レス) @page21 id: 8fcd9949a5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽっカラ | 作成日時：2021年6月20日 15時
