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顔を見合わせて「ただいま」と挨拶を交わし、それが何だか不思議な感じがして二人同時に小さく笑った。
お風呂に入りたいが浴室に何もなかったことを話せば、まだ開けたことのない収納スペースから必要な物を取り出してくれた。
ちゃんと用意してくれていたことが嬉しくて、すぐお風呂の用意をするねと浴室へ駆け込む。
そこはやっぱり新しい匂いしかしなくて、本当にここで生活していなかったのだと訴えかけているようだった。
蘭くんが出してくれたシャンプーやボディソープは見たことのない物で、ラベルをまじまじと眺めていたら後ろから声が降ってきた。
「さすがに12年前使ってたのはもう売ってねえんだわ。」
それは仕方がないと思う。
私だってシャンプーはその時話題になっている物に変えたりするし、奮発してサロンでしか売っていない物を買ったことだってある。
あの頃より髪が短く、色も違う蘭くん。私の髪もあの頃より長く伸ばし、カラーを入れている。
何でもかんでも、12年前の再現とはいかない。
それだけ私達は大人になっている証なのだと、あの頃の思い出にそっと蓋をした。
「これは蘭くんがいつも使ってるものなの？」
「まぁそうだなー。いろいろ使った中でAにも合いそうなヤツ選んでみた。」
好みが変わっていたら合わないかもしれない、そう付け加えて蘭くんが微笑んだ。
私のことまで考えてくれたことが何よりも嬉しいと感じる。
突然の再会と同棲は最初から計画されていたものなんじゃないか、そんな風に思えるくらい用意周到だった。
「蘭くんとまたこうして一緒にいれて、嬉しいなって思ってる。」
何度忘れようとしても忘れられなかった。
私の中にいる「灰谷蘭」の存在は何よりも大きく、かけがえのない人なのだと痛感した。
こうして再会していなかったら明日も明後日も、来月も来年もずっと蘭くんを引き摺ったまま生きていたと思う。
「蘭くんは私のことを忘れた日は一度もないって言ってたよね。」
「忘れることなんて出来ねえよ。」
「忘れようと努力したことも、…ッ、…、」
言い掛けて、唇を塞がれる。綺麗な薄紫色の瞳が私を捕らえて離さない。
優しいその瞳と生温かな感触に心地良さを感じてそっと目を閉じた。
「忘れたいと思ったことだって、一度もねえから。」
ごめんね蘭くん、馬鹿な女でごめんね。
もう迷わない、間違えない。今度こそ蘭くんの全てを信じて、幸せだねって笑い合える未来を迎えよう。
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れん(プロフ) - まゆさん» まゆさま、コメントありがとうございます！お褒めの言葉、とても嬉しく思います！「一生幸せ」も読んでくださってありがとうございます☺️全然系統が違うのに一気読みしていただけて嬉しいです！これからも楽しんでいただけるよう頑張ります✨ (3月18日 19時) (
レス) @page23 id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 初コメ失礼致します。お話が面白くメチャクチャ引き込まれてしまい、気づいたら一気に読んでしまいました！あと実は、れん様の他の蘭君のお話しも一気に読ませていただきました！どれも最高に良かったです！！更新頑張ってくださいね。応援しています。 (3月18日 8時) (レス) @page23 id: e4a4033c2e (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - とわさん» とわさま、コメントありがとうございます！沢山の蘭くんの小説の中からこちらを見つけてくださって嬉しい限りです！貴重なお時間を使って読んでいただいている分、面白かったと思ってもらえるようなお話に出来るよう頑張ります☺️ (3月16日 1時) (レス) @page21 id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
とわ - 蘭くんの小説探してたらみつけたんで読ませていただいてます！めっちゃいいっすね…まじ好きな感じできてて… これからも読ませていただきます！応援してます！頑張ってください！ (3月15日 3時) (レス) @page21 id: 8407209a34 (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - ｋｉｚｕｎａさん» ｋｉｚｕｎａさま、コメントありがとうございます！こちらのお話にも遊びに来てくださって本当に嬉しいです☺️更新頑張りますので、またお暇な時に読んでいただけたら幸いです…！ (2月23日 21時) (レス) id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れん | 作成日時：2024年2月23日 0時
