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「私は12年間、ずっと勘違いをしていた…。」
雪が降っていたあの夜。一人で過ごしたせいか、いつもより寒く感じたことを今でも覚えている。だから冬は嫌いだった。
夜が明けても蘭くんは帰って来ず、連絡の一つもなかった。
愛想を尽かされたのかもしれないと不安に苛まれ、別れの文字が脳内を埋め尽くした。
心当たりはなかったけれど、気付かないうちに蘭くんに嫌な思いをさせてしまっていたのかもしれない。そう考えれば考えるほど、別れという現象が間近に迫っているように感じた。
「別れよう」その台詞を聞きたくなくて、逃げるように荷物を纏めてあの部屋を後にした。
振られるくらいなら、私から終わらせようと思って。
「蘭くん、帰ってきてくれなかった、連絡もくれなかった。だから、出てった…。」
「ごめんな。」
そうやって、蘭くんを悪者にすることで自分を守ってきた。
何を言われても受け入れる覚悟で話をしようと決めたのに、蘭くんの口から聞かされた真実に酷く動揺して頭の中がぐちゃぐちゃになった。
大きな抗争があって、逮捕されて、鑑別所に入った。
これは紛れもなく真実なのだろう。
そう思う理由は当時の蘭くんが不良でチームに入っていたことを知っていたからなのもあるけれど、何よりも私が蘭くんのことを愛しているからだった。
12年経っていようとも分かる。あの目、あの声色、あの流暢な話し方、どれもその場で思い付いた嘘ではないことを本能は知っている。
私が勝手に出て行った。蘭くんが悪いんだって思い込むことで、自分が楽になりたかった。
私は傷付いたのだと悲劇のヒロインを気取っていただけで、本当は私が蘭くんを酷く傷付けた。
「ごめんなさい…、」
「Aは悪くねぇよ。」
優しい声で宥められ、また胸の奥が苦しくなる。
すれ違いだと蘭くんは言った。私が悪いと責めてもくれない。どこまでも優しい蘭くんの抱擁に、一度は引っ込んだ涙がじわじわと溢れ出す。
「今こうしてまた戻ることが出来たんだし、あれはあれで思い出ってことでよくね？」
そうだね、なんて言えるほど図々しい女にはなれない。だけどいつまでも泣いてばかりじゃ、蘭くんの好意を無視することになる。
ありがとう。そう呟いて蘭くんの胸に顔を埋めた。
「黙っていなくなるのは、もうナシな。」
この先どんなことがあってもそれだけは必ず守る。そう誓って強く頷けば、この話はこれで終わりだと蘭くんは笑った。
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れん(プロフ) - まゆさん» まゆさま、コメントありがとうございます！お褒めの言葉、とても嬉しく思います！「一生幸せ」も読んでくださってありがとうございます☺️全然系統が違うのに一気読みしていただけて嬉しいです！これからも楽しんでいただけるよう頑張ります✨ (3月18日 19時) (
レス) @page23 id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 初コメ失礼致します。お話が面白くメチャクチャ引き込まれてしまい、気づいたら一気に読んでしまいました！あと実は、れん様の他の蘭君のお話しも一気に読ませていただきました！どれも最高に良かったです！！更新頑張ってくださいね。応援しています。 (3月18日 8時) (レス) @page23 id: e4a4033c2e (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - とわさん» とわさま、コメントありがとうございます！沢山の蘭くんの小説の中からこちらを見つけてくださって嬉しい限りです！貴重なお時間を使って読んでいただいている分、面白かったと思ってもらえるようなお話に出来るよう頑張ります☺️ (3月16日 1時) (レス) @page21 id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
とわ - 蘭くんの小説探してたらみつけたんで読ませていただいてます！めっちゃいいっすね…まじ好きな感じできてて… これからも読ませていただきます！応援してます！頑張ってください！ (3月15日 3時) (レス) @page21 id: 8407209a34 (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - ｋｉｚｕｎａさん» ｋｉｚｕｎａさま、コメントありがとうございます！こちらのお話にも遊びに来てくださって本当に嬉しいです☺️更新頑張りますので、またお暇な時に読んでいただけたら幸いです…！ (2月23日 21時) (レス) id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れん | 作成日時：2024年2月23日 0時
