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何も言わずに宙を見つめながら少し眉間に皺を寄せるその表情に、答えはYESなのだと悟った。

蘭くんは頭が良いから、きっと私が不安にならないような言葉を選んでいるのだと思う。

昔と変わらない優しさに、それまで抱えていた不安が少しずつ薄れていくのを感じた。



「…やっぱそうだよね。」



蘭くんを困らせるつもりはない。

暇過ぎてネットを眺めていたら記事を見つけてしまったことを話せば、それまで黙っていた蘭くんが口を開いた。



「ごめんな。」

「蘭くんのせいじゃないよ。」



全て偶然が重なっただけ。目撃してしまっただけで、怪我をしたわけでも命を狙われたわけでもない。

あの時、もっと冷静になっていたら。そんな風に後悔をしても手遅れだ。そもそも、冷静になれる状況ではなかったのだから。



「Aは…それでも俺といてくれるか?」



目を細めて少しだけ口角を上げ、真っ直ぐに私を見つめる蘭くんが私の太腿に手を置いた。

それに重ねるように自分の手を置いて指を絡ませ、そっと握り締めた。



「俺の隣にいてって顔してる。」

「答えて。」

「私はもう、蘭くんから離れたくない。」



真剣な眼差しから逃げずに、はっきりとそう伝えた。僅かに見開いた蘭くんの薄紫色の瞳には私だけが映っている。

繋いだ手を引かれて腕の中に閉じ込められる。

大好きな蘭くんの香りに包まれて、一人きりの時に感じていた不安は跡形もなく消えた。



「A、好き。愛してる。」



体を離して優しく髪を撫でる蘭くんの指が気持ち良い。熱っぽい視線が私を捕らえて離さないと訴えているようで、ゆっくりと瞼を下せば唇に柔らかな感触が走る。

触れるだけのキスを何度も繰り返した後、噛み付くように荒々しく口付けてくる蘭くんのスーツをきゅっと握った。

逃さないようにと後頭部に回された手から愛情を感じるほどに、再び燃え上がった蘭くんへの恋心を完全に自覚した。


もう逃げない。誤魔化さない。自分が傷付かないように守る言葉はもう言わない。


ねえ、蘭くん。好きと伝えるのはこんなにも勇気が必要だったんだね。

私がどんな反応をしてもたくさんの愛の言葉を贈ってくれていた蘭くんの気持ちに、今ならちゃんと応えられる。



「蘭、くん…大好き、愛してる…、」

「愛してる。A、愛してる。」



自然と溢れ出た涙がぽろぽろと落ちる。指で掬ってくれる優しい仕草にまた胸の奥が締め付けられて、もう一度蘭くんの唇に貪りついた。

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れん(プロフ) - まゆさん» まゆさま、コメントありがとうございます!お褒めの言葉、とても嬉しく思います!「一生幸せ」も読んでくださってありがとうございます☺️全然系統が違うのに一気読みしていただけて嬉しいです!これからも楽しんでいただけるよう頑張ります✨ (3月18日 19時) (レス) @page23 id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 初コメ失礼致します。お話が面白くメチャクチャ引き込まれてしまい、気づいたら一気に読んでしまいました!あと実は、れん様の他の蘭君のお話しも一気に読ませていただきました!どれも最高に良かったです!!更新頑張ってくださいね。応援しています。 (3月18日 8時) (レス) @page23 id: e4a4033c2e (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - とわさん» とわさま、コメントありがとうございます!沢山の蘭くんの小説の中からこちらを見つけてくださって嬉しい限りです!貴重なお時間を使って読んでいただいている分、面白かったと思ってもらえるようなお話に出来るよう頑張ります☺️ (3月16日 1時) (レス) @page21 id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
とわ - 蘭くんの小説探してたらみつけたんで読ませていただいてます!めっちゃいいっすね…まじ好きな感じできてて… これからも読ませていただきます!応援してます!頑張ってください! (3月15日 3時) (レス) @page21 id: 8407209a34 (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - kizunaさん» kizunaさま、コメントありがとうございます!こちらのお話にも遊びに来てくださって本当に嬉しいです☺️更新頑張りますので、またお暇な時に読んでいただけたら幸いです…! (2月23日 21時) (レス) id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:れん | 作成日時:2024年2月23日 0時

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