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大きな窓の外に広がる青空をぼんやりと眺める。
平日のこんな時間に何もせずぼーっとしているなんて、昨日までの私には考えられなかった。
仕事に行かなくていい、何もしなくていい。
蘭くんの言葉を鵜呑みにしてしまってもいいのだろうか。悩んでも答えは出ない。
やることがないと、暇で仕方がない。
かと言って、梵天の幹部だと名乗った蘭くんに「何か手伝おうか」なんて言えるわけもない。
正直、自分が犯罪者にはなりたくないのだから。
「外には出れないんだよね？」
「ごめんな。」
「…うん。」
たった四文字で蘭くんの心中を察して、それ以上は口を閉じる。
何もやることがない、外にも行けない。持て余した時間をどう使えばいいのかと頭を悩ませる。
何かに没頭していなければ、考えたくないことばかり考えてしまいそうだから。
「欲しい物あったら遠慮なく言えよ？」
「…スマホ。」
「俺がぶっ壊したしな。新しいのはもう買ってあるから、それで許して。」
随分と、用意がいい。
そんな物を与えたらどうなるのか考えているのだろうか。
とは言っても、今更警察に通報しようなんて、そんな勇気は持ち合わせていないのだけれど。
ふかふかのベッドに腰掛けて蘭くんを見上げ、静かに問い掛ける。
「いいの？どこかに電話するかもしれないのに。」
「信じてるからな。」
私の前に立つ蘭くんが片膝をついて、そっと私の手を取って目を細めた。
いつだって余裕そうで、私の考えなんて簡単に見透かしてしまう。
私が出来ないことを分かっている上で、信頼の言葉で縛り付けてくるのだから。
本当に、狡い人。
「馬鹿だね、私。」
隣に座った蘭くんがゆっくりと私の髪を撫でる。
どちらからともなく手を繋いで、凭れ掛かるように蘭くんの肩に頭を預けた。
「何も出来ないのにね。」
好きな人を売るなんて、私には出来ない。
どんなに傷付いても、泣き明かしても、蘭くんを嫌いになんてなれなかった。
忘れさせてもくれなくて、囚われたままの心はいつだって悲鳴を上げていた。
信じたい、信じさせてみせてと言った言葉に嘘はない。
もう二度と、蘭くんを失いたくない。
「何もしなくていいから、側にいて。」
「どこにも行かないって、約束してくれるなら。」
繋いだ手から感じる心地良い体温に、ゆっくりと瞼が降りる。
もう少しだけ、眠らせてほしい。
次に目を覚ました時も、どうか隣に蘭くんがいてくれますように。
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れん(プロフ) - まゆさん» まゆさま、コメントありがとうございます！お褒めの言葉、とても嬉しく思います！「一生幸せ」も読んでくださってありがとうございます☺️全然系統が違うのに一気読みしていただけて嬉しいです！これからも楽しんでいただけるよう頑張ります✨ (3月18日 19時) (
レス) @page23 id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 初コメ失礼致します。お話が面白くメチャクチャ引き込まれてしまい、気づいたら一気に読んでしまいました！あと実は、れん様の他の蘭君のお話しも一気に読ませていただきました！どれも最高に良かったです！！更新頑張ってくださいね。応援しています。 (3月18日 8時) (レス) @page23 id: e4a4033c2e (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - とわさん» とわさま、コメントありがとうございます！沢山の蘭くんの小説の中からこちらを見つけてくださって嬉しい限りです！貴重なお時間を使って読んでいただいている分、面白かったと思ってもらえるようなお話に出来るよう頑張ります☺️ (3月16日 1時) (レス) @page21 id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
とわ - 蘭くんの小説探してたらみつけたんで読ませていただいてます！めっちゃいいっすね…まじ好きな感じできてて… これからも読ませていただきます！応援してます！頑張ってください！ (3月15日 3時) (レス) @page21 id: 8407209a34 (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - ｋｉｚｕｎａさん» ｋｉｚｕｎａさま、コメントありがとうございます！こちらのお話にも遊びに来てくださって本当に嬉しいです☺️更新頑張りますので、またお暇な時に読んでいただけたら幸いです…！ (2月23日 21時) (レス) id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れん | 作成日時：2024年2月23日 0時
