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今日も懐かしい夢を見た。
その夢を見た日は決まって、アラームが鳴るよりも早く目が覚める。
夢は夢だと、現実に戻れと、まるでそう言われているかのように。
2月22日。
もうすぐ2月も終わりを迎える。
懐かしくも切ない12年前を思い出し、そっと目を閉じる。
夢で見たあの綺麗な顔は、今でも鮮明に脳裏に描くことが出来た。
もう忘れないと。
いつまでも思い出に縛られたままの私は、新しい恋の一つも出来ないまま来年は30歳になってしまう。
早朝の冷えたキッチンでお湯を沸かしてコーヒーを淹れる。
昔は飲めなかったブラックコーヒーも、真似をするうちに飲めるようになった。
12年前の思い出はいろんな所に散りばめられているから。
忘れたいのに、忘れられない。
そんな苦しさごと飲み込むかのように、真っ白な湯気が立つコーヒーを喉の奥に流し込んで溜息を吐いた。
狭くも広くもない部屋に、やけに大きく響いた気がした。
気を紛らわせるためにテレビを点ける。
もう一口コーヒーに口付けてから身支度を始めた。
ああ、洗顔が切れそう。
化粧水ももう少しで終わりそうだし、気に入っているアイシャドウも割ってしまったのだった。
今日の帰りはドラッグストアに寄ろう。
寝癖を直して、鈴蘭の香りのヘアオイルで艶々に仕上げる。
今日は何を着ていこうか。
窓の外を見ればよく晴れているから、たまには白いフレアスカートでも穿こう。
クローゼットから服を取り出している時、ふと背後のテレビから流れるニュース音声に意識が傾いた。
梵天、またその組織の名前。
ここ最近、ニュースでその名を聞かない日はない。
人を殺しただの、人を売っただの、普通に生活していたら縁のない話ばかりが当たり前のように起きている。
今日も東京のどこかで、その人間たちは私と同じように息をしているのだと思うとぞっとする。
まあ、私には関係ないけれど。
友達は多くない。会社の飲み会なんて行われたことがない。
平凡な毎日を送る私がニュースに載るような事件に巻き込まれる可能性なんて、万が一にもないだろう。
メイクを済ませて、アクセサリーケースに手を伸ばす。
若気の至りで元彼に開けてもらった、右耳のピアスホール。そこに真っ白なパールを一つ。
左耳にも開けようと思っていたのに、開けられないままこんなに年月が経ってしまった。
また、思い出が甦る。
「蘭くん、…。」
12年前の2月22日を最後に、彼は私の前から姿を消した。
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れん(プロフ) - まゆさん» まゆさま、コメントありがとうございます！お褒めの言葉、とても嬉しく思います！「一生幸せ」も読んでくださってありがとうございます☺️全然系統が違うのに一気読みしていただけて嬉しいです！これからも楽しんでいただけるよう頑張ります✨ (3月18日 19時) (
レス) @page23 id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 初コメ失礼致します。お話が面白くメチャクチャ引き込まれてしまい、気づいたら一気に読んでしまいました！あと実は、れん様の他の蘭君のお話しも一気に読ませていただきました！どれも最高に良かったです！！更新頑張ってくださいね。応援しています。 (3月18日 8時) (レス) @page23 id: e4a4033c2e (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - とわさん» とわさま、コメントありがとうございます！沢山の蘭くんの小説の中からこちらを見つけてくださって嬉しい限りです！貴重なお時間を使って読んでいただいている分、面白かったと思ってもらえるようなお話に出来るよう頑張ります☺️ (3月16日 1時) (レス) @page21 id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
とわ - 蘭くんの小説探してたらみつけたんで読ませていただいてます！めっちゃいいっすね…まじ好きな感じできてて… これからも読ませていただきます！応援してます！頑張ってください！ (3月15日 3時) (レス) @page21 id: 8407209a34 (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - ｋｉｚｕｎａさん» ｋｉｚｕｎａさま、コメントありがとうございます！こちらのお話にも遊びに来てくださって本当に嬉しいです☺️更新頑張りますので、またお暇な時に読んでいただけたら幸いです…！ (2月23日 21時) (レス) id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れん | 作成日時：2024年2月23日 0時
