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47 【side you】 ページ47

「とある家族の話。」



家族構成は父のみ。産んでくれたお母さんは幼い頃に亡くなってしまった。

暫くはお父さんと二人きりだったけれど、中学生になった時に新しい母が出来た。綺麗で優しい人だった。

同時に、姉が出来た。一人っ子だった私はとても嬉しくて、私はすぐに懐いて姉のことが好きになった。

母も姉も私を可愛がってくれた。お父さんも嬉しそうだし、これからは新しい家族で新しい生活が始まるんだと、たくさんの期待を抱えた。


それは最初だけだった。

半年、一年と過ぎていく度に母と姉が徐々に素っ気なくなった。だけど認めたくなくて、気にしないように平然を装った。

お父さんは気付いていないのか、気付かないフリをしているのか、私を気にかける言葉を掛けてはくれない。


いつかきっとまた楽しかった日々に戻れると信じて、ずっと我慢していた。

私のご飯が用意されていなかった時も、私を残して三人で出掛けてしまった時も。


居心地の悪さで苦しんでいた中3の夏、初めて彼氏が出来た。

私を好きだと言ってくれた彼の熱意に押されて付き合う事になったけれど、日が経つにつれて私も彼が好きになっていった。

家族からは感じ取れなかった「愛」というものを、彼は与えてくれる。私を好きでいてくれる人がいる、それだけで十分だった。


卒業を間近に控えたある日、母は言った。



「成長すればするほど、あの人によく似た顔ね。」



それは亡くなってしまったお母さんのことだとすぐに理解した。

心底嫌そうにそう言った母に何も言い返せなかった。重い足取りで2階へ上がると、姉の部屋から彼氏が出て来た。

何で?そう尋ねても、野暮用だと誤魔化しながら帰って行った。

呆然としている私に畳み掛けるように、部屋から出てきた姉が意地の悪い笑みを浮かべて口を開いた。



「あんたの彼氏、私のこと好きみたいだけど?」



仲の良い幸せな家族。そのためにずっと耐えてきたのに、理想はあっけなく崩れ落ちる。

母も姉も、もう昔みたいに笑顔を向けてはくれない。同時に、私は随分と長い間二人に笑顔を見せていないと気付く。


もう、誰にも期待しない。

そう心に決めて、中学卒業と同時に一人暮らしをさせて欲しいとお父さんにお願いした。



「Aがそうしたいなら、そうしよう。」



お父さんさえも止めてはくれなかった。まるで他人の父のように感じてしまい、この家にはいられないのだと全てを悟った。



「…っていう、面白くない話。」

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れん(プロフ) - kizunaさん» kizunaさま、コメントありがとうございます!こちらにも遊びに来ていただけて嬉しいです!好みだなんて勿体無いお言葉…!更新の励みになります😭また遊びにいらしてくださいませ! (2月25日 23時) (レス) id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
kizuna(プロフ) - 本当に作者様の作るお話が凄く好みで最高です!これからも頑張って下さい! (2月25日 19時) (レス) @page31 id: 0b38a899d8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:れん | 作成日時:2024年1月30日 21時

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