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葵ちゃんのダチ、Aちゃんを連れて1階のカウンターまで来た。

兄ちゃんの分と俺の分、葵ちゃんにお詫びのフルーリーを注文する。

隣に立つAちゃんに、遠慮しなくていいから何か頼んでと声を掛けた。



「じゃあ…私もフルーリーいいですか?」

「いいよ。味、どっち?」

「葵のとは違う方にします。」



ありがとうございます、そう頭を下げる彼女に全然気にしていないことを伝える。

誰かに奢ることなんて特別でも何でもないし、慣れている。

注文した商品が出来上がるのをカウンター近くの席で待つが、特に会話らしい会話はなかった。


そんな時、2階から降りてきた女2人の会話が耳に流れてきた。

あの格好いい人、彼女持ちだったね。

兄ちゃんたちのことだろう。今頃2階では説教でもされていたら面白いのに。



「なあ。何でフルーリー、違う味にしたの?」

「葵と分け合いっこしたいからです。」

「なるほどね。仲良いな。」

「最近話すようになって。可愛いし、優しいし、大事な友達です。」



兄ちゃん、何も心配いらないんじゃね?

こんな風に言ってくれるダチなら葵ちゃんも安心だ。

なんて言ったら、また保護者とか言われるんだろうな。


葵ちゃんとは対照的で、Aちゃんからはクールな印象を受けた。

話し方もそうだけど、さっきの突然の兄ちゃん登場にもそこまで驚いた感じには見えなかった。



「さっきも言ったけど、遊んでるとこ悪かったな。楽しみにしてたのに兄貴が邪魔しちゃってさ。」

「大丈夫です。学校では毎日会えますから。」

「兄貴さ、初めて本気で好きになった女が葵ちゃんなんだよ。」

「私がもし男だったら葵のこと好きになると思います。」



そう話すAちゃんをじっと見つめた。

何つーか、整った顔だな。まだガキっぽさは残るけど。


無言なのが何となく気まずくて、適当に話を振ってはその返事に耳を傾けていた。

こういう感覚は久しぶりだなと感じる。

媚びるわけでも色目を使うわけでもなく、ただの1人の人間として接しているような、そんな感じ。


余計な感情がないって、いいな。


ぼんやりと天井を眺めながらそんなことを思っていたら注文した商品が出来たそうで、3つあるトレーのうち1つだけAちゃんに持ってもらった。



「こぼすなよ?」

「大丈夫です。」



2階へ戻れば葵ちゃんが駆け寄ってきて、それをAちゃんが嬉しそうにしているのが微笑ましかった。

6→←4 【side you】



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れん(プロフ) - kizunaさん» kizunaさま、コメントありがとうございます!こちらにも遊びに来ていただけて嬉しいです!好みだなんて勿体無いお言葉…!更新の励みになります😭また遊びにいらしてくださいませ! (2月25日 23時) (レス) id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
kizuna(プロフ) - 本当に作者様の作るお話が凄く好みで最高です!これからも頑張って下さい! (2月25日 19時) (レス) @page31 id: 0b38a899d8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:れん | 作成日時:2024年1月30日 21時

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