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4人で夜のクラブに行く、かぁ。
Aは夜に出歩くことなんてなさそうだし、断られるかもしれないと悩んでいたらスマホが震えた。
Aからの着信を告げる画面に思わず頬が緩みそうになったが、兄ちゃんがいる前でそんな顔は出来ないと必死に堪えた。
「もしもし?」
「竜くんごめんね。急に電話して。」
「いいよ。俺も話したいことあったからちょうど良かった。」
にやつく兄ちゃんにべっと舌を出して自室に逃げる。
「葵から写真送られてきたの。格好よくて思わず声聞きたくなっちゃった。」
「サンキュ。Aにそう言ってもらえて嬉しいわ。」
「竜くんDJ出来るんだ。格好いいね。私も見たい。」
「それなんだけど、土曜日のデートの後クラブに呼ばれてんだよね。」
ベッドに寝転んで、土曜日の22時に仲間のバースデーイベントでDJをやってくれないか頼まれていることを話す。
昔はよくクラブに出入りしていたし、俺のDJが好評なことも自覚がある。
こんな機会じゃなければ見せることもないだろうし、格好つけたくて誘ってみることにした。
「兄ちゃんと葵ちゃんも行くんだけど、Aも一緒に来てくんね?」
「行く。竜くんの格好いい所見たい。」
即答したAが愛おしくて口角が上がった。
格好いい所が見たいなんて、そんな可愛いお願いを聞かずにはいられない。
「特等席で俺のDJ姿見せてやるから期待してて。」
「楽しみにしてるね。」
眠る前に竜くんの声が聞けてよかった。
そう話す嬉しそうな声に胸の奥が温かくなる。
「A、」
「何?」
「好きだぜ。土曜日、楽しみにしてろよ。」
「私も竜くんが大好き。明後日が待ち遠しいね。」
こんな風に自然と愛を囁くようになるなんて、想像もしていなかった。
また会いたくなる衝動に駆られながら、あったかくして寝ろよと通話を切る。
リビングに戻れば葵ちゃんの姿はなく、兄ちゃんだけがソファで寛ぎながらテレビを眺めていた。
「Aちゃんも来るってー?」
「うん。いいとこ見せてって言われた。」
「嫁にダセェ姿見せらんねえもんな。」
「ほんとそれ。その気持ち、今ならすげー分かるから。」
薄紫色の垂れ目が細くなった。
兄弟でこんな話をする日が来るなんて、人生どうなるか分からないものだ。
一緒に飲もうと誘えば、いいねと笑った兄ちゃん。
酒のつまみは…、そうだな。
お互いの大事な彼女の自慢話ってのも悪くないんじゃない?
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れん(プロフ) - kizunaさん» kizunaさま、コメントありがとうございます!こちらにも遊びに来ていただけて嬉しいです!好みだなんて勿体無いお言葉…!更新の励みになります😭また遊びにいらしてくださいませ! (2月25日 23時) (レス) id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
kizuna(プロフ) - 本当に作者様の作るお話が凄く好みで最高です!これからも頑張って下さい! (2月25日 19時) (レス) @page31 id: 0b38a899d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れん | 作成日時:2024年1月30日 21時