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今度こそ部屋の前まで見送って、1人帰路につく。
すっかり遅くなってしまったなと思った頃に兄ちゃんからメッセージが入る。
今日帰ってくるのか、その問いに今帰ってると返信して携帯を仕舞った。
駅の近くでタクシーを拾って、六本木のマンションまで帰る。
その途中でまた携帯が震えて、兄ちゃんかと見てみればAちゃんの名前が表示されていた。
［先程はありがとうございました。ご迷惑おかけしました。］
律儀な文章にAちゃんらしいなと笑みが漏れる。
思えば、結構大胆なことをしたかもしれない。
彼氏のフリなんて初めてだったから、上手く出来ていたかは分からない。
葵ちゃんのダチを守るため。
それが建前なのは自分でも気付いている。
相手は高校生だから、葵ちゃんのダチだから、好きだとか付き合うだとか。
そんなこと考えていないと言ったのは、自分に言い聞かせて納得していただけ。
「…ウケる。」
恋愛のやり方なんて、もう忘れてしまった。
純粋に恋がしたいと言っていたAちゃんに、俺みたいな奴は釣り合わない。
だからと言って諦めるのは性に合わない。
兄ちゃんにバレたら面白がられるなと憂鬱な気分になりながら、もう一度Aちゃんからのメッセージを読んで返信を打ち込む。
［また何かあったら助けてやるから、すぐ言えよ。］
たった一つのメッセージを送ることがこんなにも緊張するなんて。
兄ちゃんはいつもこんな気持ちで過ごしていたんだな。
まだ葵ちゃんと付き合う前。2年間も片思いをしていた頃、凄いなと言ったことがある。
あの時は分からないなりに兄ちゃんに同調していただけだったけれど、今ならちゃんと分かる。
今すぐにでも、自分だけのものにしたい。
凛とした綺麗な顔。
不意に無邪気に笑う顔。
子供っぽくむっと拗ねる顔。
触れられたら顔を赤くして照れる顔。
どれも全部、俺だけが独占していたい。
俺にだけ見せてほしい。
ダチ思いで優しく、気遣いが出来るところも、流行りのキャラクターが好きなところも、全部が可愛い。
今度お礼がしたいと届いたメッセージに、土曜日のバイト終わりに迎えに行くと約束を取り付けてタクシーを降りた。
玄関を開ければリビングからはいつも通りの兄ちゃんたちの声が聞こえる。
今まで当たり前に感じていた2人の関係を、こんな風になりたいと羨ましく感じたのは内緒の話。
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れん(プロフ) - ｋｉｚｕｎａさん» ｋｉｚｕｎａさま、コメントありがとうございます！こちらにも遊びに来ていただけて嬉しいです！好みだなんて勿体無いお言葉…！更新の励みになります😭また遊びにいらしてくださいませ！ (2月25日 23時) (
レス) id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
ｋｉｚｕｎａ(プロフ) - 本当に作者様の作るお話が凄く好みで最高です！これからも頑張って下さい！ (2月25日 19時) (レス) @page31 id: 0b38a899d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れん | 作成日時：2024年1月30日 21時
