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「とにかく、蘭ちゃんはお留守番です。」

「小遣いやんねーからな?」



すぐ金で解決しようとするのは兄ちゃんの良くない所。



「大丈夫だよ。入学祝いでお母さんからお小遣い貰ったもん。」



葵ちゃんにその脅しは効かないんだよなぁ…。



「嘘、ごめん葵、俺も連れてって。」



こんな風に嫁に頭を下げる兄ちゃんなんて、俺らのツレが知ったらビビるだろうな。

まあでも、嫁が出来たと公言しているから今更かもしれない。



「その子は蘭ちゃんのこと知らないから気を遣うでしょ。」

「ちゃんと旦那いるって紹介しろよー。」

「そういう話はまだしてないの…!」



顔を真っ赤にして反論する葵ちゃんと、面白がって抱き寄せる兄ちゃん。

あー今日も灰谷家は平和だなー。もう寝ようかな。


そっとリビングから離れようとソファを立つと、兄ちゃんが声を掛けてきた。



「竜胆ー、明日暇ー?」

「別に予定ねえけど。何で?」

「オッケー。」



何が、と言い掛けて口を噤む。

多分、明日尾行するつもりなんだ。

兄ちゃんの考えていることは大体分かるから、それ以上は何も言わず部屋に戻った。


面倒だなとベッドへ身を投げ出す。

そこまで過保護にならなくてもいいと思うんだけど、兄ちゃんはそれだけ本気ってことなのかな。


そんな気持ちになったことがないから、分からないけれど。



「嫁…ねぇ…。」



俺もいつか兄ちゃんのように、心の底から好きになって、喉から手が出るほど欲しい女が現れるのだろうか。

何が、どこが、そんなものは理屈じゃないのだと兄ちゃんは言っていた。

いつか俺にもそんな日が来たらいいな。カリスマが一生独身はさすがにキツい。



「っつっても高校生だしなぁ…さすがに興味ねー…。」



ダチがどんな奴なのかは気になるけれど、それ以上もそれ以下もない。

兄ちゃんの大事な葵ちゃんがそいつと仲良くやっていけるなら、それでいい。


なんか俺、保護者みたいだな。イザナよりマシだけど。


部屋の外から漏れる2人の声をBGMにしながら、そっと目を閉じる。

気付けばそのまま眠っていたらしいが、夜中に兄ちゃんが叩き起こしに来た。



「明日尾行しようぜー。」

「やっぱりな…。バレたら怒られるんじゃね?」

「怒った顔も可愛いから問題ねーよ。」



ごめん兄ちゃん。

何もよくねーよ。巻き込まれた上、俺まで怒られるのは御免だからな。

3 【side you】→←1



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れん(プロフ) - kizunaさん» kizunaさま、コメントありがとうございます!こちらにも遊びに来ていただけて嬉しいです!好みだなんて勿体無いお言葉…!更新の励みになります😭また遊びにいらしてくださいませ! (2月25日 23時) (レス) id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
kizuna(プロフ) - 本当に作者様の作るお話が凄く好みで最高です!これからも頑張って下さい! (2月25日 19時) (レス) @page31 id: 0b38a899d8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:れん | 作成日時:2024年1月30日 21時

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