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「蘭ちゃん聞いて!」
「どうした葵、ご機嫌で可愛いじゃん♡」
「ついに友達が出来たよ!」
「よかったなあ。なかなかダチ出来なくて三ツ谷しか話し相手いないって落ち込んでたもんなー。」
兄ちゃんの彼女、いや違う。
兄ちゃんの嫁が嬉しそうに話している。友達が出来た、と。
春から高校一年生になった兄ちゃんの嫁。入学式からそろそろ2週間、ようやくダチが出来たそうだ。
…遅くね?
「明日の帰りに一緒に寄り道する約束した!」
「待て待てー?蘭ちゃんは?」
「蘭ちゃんは…明日はお迎え大丈夫です。」
過保護な兄ちゃんは大好きな睡眠を削ってまで葵ちゃんの送り迎えをしている。
中学を卒業してから半ば強引に俺らの部屋で同棲するよう許可を取りに行ったのが懐かしく感じた。
そんな兄ちゃんは何だかんだ、送り迎えを楽しんでいるようで。
葵ちゃんが明日の迎えを断ると、イラッとしたような悲しいような、そんな顔をしている。
かと思いきや、意地の悪いにやっとした顔を葵ちゃんに向けてこう言った。
「俺も着いてくからな♡」
「何で…!?」
過保護も大概にした方がいいよ、兄ちゃん。
そんなことは言えずにただ2人のやり取りを眺めてふっと笑った。
兄ちゃんも葵ちゃんも、心底幸せそうで何より。
2人を見ているだけで俺は腹一杯な毎日を送っている。
嫁…いや、彼女かー。
そういう意味で、ちゃんと女と付き合ったことってないな。
街を歩いているだけでカリスマ性が漏れちゃう兄弟だから、女から声を掛けられることなんてザラだし。
こっちから求めなくたって、勝手に女は寄ってくる。
それでよかった。
特別な女なんて別に欲しいとも思わないし。適当に相手して、都合よく遊べたらそれでいい。
兄ちゃんもそうだったはずなのに、2年前の夏の日から兄ちゃんは変わった。
それまでたくさんの女と関係を持ったり、まるで人として扱っていないような素振りもたくさん見てきた。
たった1人の、中学一年生の女に出会うまでは。
一目惚れをしたのだと、それまで散々遊び尽くしてきた兄ちゃんが一切女に手を出さなくなった。
なんなら触れられただけでキレ散らかしてて、止め役の俺は結構大変だったんだよ。
そんなのを見てきたら、やっぱ彼女とかいらねーなって。
「竜胆も早く嫁作ればー?」
「何で今このタイミングで言うワケ?俺興味ないし。」
兄ちゃん、俺の心の中読んでる説ある?
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れん(プロフ) - kizunaさん» kizunaさま、コメントありがとうございます!こちらにも遊びに来ていただけて嬉しいです!好みだなんて勿体無いお言葉…!更新の励みになります😭また遊びにいらしてくださいませ! (2月25日 23時) (レス) id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
kizuna(プロフ) - 本当に作者様の作るお話が凄く好みで最高です!これからも頑張って下さい! (2月25日 19時) (レス) @page31 id: 0b38a899d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れん | 作成日時:2024年1月30日 21時